サウナ後の肌のまだら模様「あまみ」とは?メカニズムから危険なサインまで徹底解説

サウナを楽しむ方の中には、肌に赤と白のまだら模様が現れる方も多いのではないでしょうか。これは「あまみ」というもので、サウナ愛好家の間ではよく知られている現象です。
この「あまみ」が初めて現れた方は心配に思うかもしれません。「あまみ」とは一体どういうものなのでしょうか。
今回は「あまみ」について詳しく解説します。
「あまみ」のメカニズム
サウナに入ると皮膚に現れる赤と白のキリン柄の模様「あまみ」。
「あまみ」という言葉の由来には諸説ありますが、富山県の方言で、囲炉裏の火に当たりすぎて皮膚にできる赤い斑点を「あまみ」と呼んでいたことから、サウナ後の肌の変化を指すようになったと言われています。
それでは、サウナの「あまみ」はどのようなメカニズムで私たちの体に現れるのでしょうか。この現象には、サウナと水風呂の温冷交代浴が大きく影響しています。温冷交代浴の最中は体には以下のような変化が起きています。
サウナ室の高温環境にいると、体温が上昇し、体は熱を放出しようとします。この際、皮膚の血管は拡張し、血流が増加します。これは、汗腺からの発汗を促し、体表面の熱を効率的に放散するための体の自然な防御反応です。
高温のサウナから一転して冷たい水風呂に入ると、急激な温度変化が体に加わります。この冷たい刺激によって、体の表面、特に皮膚の血管は急速に収縮します。これは、体内の熱が奪われるのを防ぎ、体温を維持しようとする体の反応です。
水風呂から出て外気浴や休憩をすると、体は再び温まり始めます。この過程で、水風呂で収縮していた血管が再び拡張します。しかし、この血管の拡張の仕方は均一ではなく、体温調節に関わる自律神経の働きや、体表の血流パターンによって、部分的に血管が拡張しやすい場所とそうでない場所が生じます。
このような変化が体内で起きるため、熱を持った赤い部分と、冷やされて血流が少ない白い部分が一時的に混在し、まだら模様として現れます。これが「あまみ」が現れるメカニズムです。この現象は特に休憩中に顕著になることがあります。
「あまみ」が治るまでの期間は?なぜ現れる?

「あまみ」は痛みやかゆみなどの症状を伴うことはありません。通常、数時間から半日程度で自然に消えていくため、初めての方は驚くと思いますがご安心ください。
「あまみ」は、不健康だから現れるものではありません。むしろ、サウナにより体がしっかりと温まり、血行が促進されている証拠とされています。
しかし、「あまみ」は体質やその日の体調、サウナの温度・湿度、水風呂の温度など、様々な要因によって左右されるため、出やすさに個人差があります。特に、自律神経の働きや末梢血管の状態によって個人差が出ると考えられていますが、具体的なメカニズムはまだ完全に解明されているわけではありません。
「あまみ」が出なくてもサウナの効果は十分に得られます。「あまみ」はあくまで血行が促進された結果として現れる現象の一つであり、サウナの全てを測るものではありません。「あまみ」を出したいからといって、サウナや水風呂に長く入りすぎると健康を害する恐れがあるため避けましょう。
「あまみ」の追求には注意!

先述しましたが、「あまみ」を追い求めすぎると、健康を損なう恐れがあるため注意が必要です。以下のような点に注意しながら、健康的にサウナを楽しみましょう。
- 無理な温冷交代浴は避ける
「あまみ」を出そうとして、サウナ室に長時間滞在したり、水風呂に無理に飛び込んだり、あるいは水風呂に極端に長く浸かったりすることは、体への過剰な負担となります。特に、高血圧や心臓疾患を持つ方は、医師に相談の上、慎重にサウナを楽しみましょう。 - 血管への負担
極端な温冷交代は、血管に大きなストレスを与えます。稀に、皮膚の血管が炎症を起こす「血管炎」などの皮膚トラブルを引き起こす可能性も指摘されています。 - 脱水症状に注意
サウナは大量の発汗を伴うため、脱水症状を引き起こす可能性があります。「あまみ」が出ているか否かに関わらず、サウナ中はこまめな水分補給を心がけましょう。
「あまみ」と見分けたい危険なサイン

「あまみ」は無害な現象ですが、以下のような場合は、「あまみ」ではなく、体への負担が大きいサインである可能性があるため、注意が必要です。
- あまみが長時間消えない、色が濃くなる(紫色など)
通常の「あまみ」は数時間程度で自然に消えますが、数日経っても消えなかったり、色が薄い赤色やピンク色ではなく、紫色になったりする場合は、血管炎の可能性があります。強い温冷刺激によって毛細血管が損傷し、内出血のような状態になっていることが考えられます。 - 痛みやかゆみを伴う
「あまみ」は無症状であるのが通常です。もし痛みやかゆみ、腫れなどを伴う場合は、皮膚に炎症が起きている可能性があります。
まとめ

「あまみ」は“体が適切にととのったサイン”の一つとして捉えられることが多く、サウナーにとっては心地よさや達成感を感じさせる要素でもあります。
しかし、無理に「あまみ」を出そうと過度な温冷交代浴を繰り返すと、脱水症状や心臓への負担、まれに血管炎などの健康リスクが生じる可能性があります。
サウナを安全に楽しむためには、ご自身の体調に合わせて無理のない範囲で利用し、十分な水分補給を心がけましょう。また、もし「あまみ」が長時間消えない、色が異常に濃い、痛みやかゆみを伴う場合は、通常の「あまみ」ではない可能性があるので、注意が必要です。ご自身の体の声に耳を傾けながら、快適なサウナライフを送ってください。