サウナでよくある「低温やけど」の原因と予防策を解説
1. はじめに:サウナブームで増加する「低温やけど」のリスク
美容や健康への効果が注目され、サウナブームが到来しています。老若男女問わず、多くの人がサウナを楽しむようになりました。しかし、それと同時に、サウナによる「低温やけど」のリスクも高まっています。
年代別 | サウナ利用経験者割合 |
---|---|
20代 | 55% |
30代 | 60% |
40代 | 50% |
(出典:サウナ協会調べ)
上記のように、サウナ利用者は増加傾向にあり、それに伴い低温やけどの発生件数も増加していると報告されています。低温やけどは、比較的低い温度でも長時間皮膚に熱が加わることで発生するやけどです。サウナでは、高温の環境に長時間身を置くため、低温やけどのリスクが高まります。
この記事では、サウナにおける低温やけどのリスクについて、その原因や予防策を詳しく解説していきます。正しくサウナを利用し、安全に健康効果を得られるように心がけましょう。
2. サウナにおける低温やけどとは?
2-1. 低温やけどのメカニズム:じわじわと皮膚の深部にダメージ
低温やけどは、高温によって瞬間的に皮膚が損傷する高熱やけどとは異なり、40~60℃程度の比較的低い熱に長時間触れ続けることで、皮膚の奥深くまでじわじわとダメージが進行するやけどのことです。
低温やけど | 高熱やけど |
---|---|
40~60℃程度の熱 | 60℃以上の高温 |
長時間触れることで発生 | 短時間の接触で発生 |
皮膚の深部にまでダメージ | 皮膚の表面にダメージ |
サウナのような高温環境では、気づかないうちに長時間熱にさらされていることがあり、低温やけどのリスクが高まります。特に、皮膚の薄い部分や血行が悪い部分は、低温やけどを起こしやすい傾向があります。
2-2. サウナで起こりやすい場所:お尻、背中、足の裏など
サウナでの低温やけどは、長時間身体が触れている場所に発生しやすく、特に以下の部位は要注意です。
部位 | 特徴 |
---|---|
お尻 | サウナ室で座っている際に、長時間熱が加わりやすい |
背中 | サウナ室で横になる際に、体重がかかり圧迫されやすい |
足の裏 | 床からの熱が伝わりやすく、気づかないうちに長時間熱にさらされている |
これらの部位は、皮膚が厚く、熱さに鈍感になりやすいため、低温やけどに発展するリスクが高いと言えるでしょう。ご自身でも意識してこまめに体勢を変えるなど工夫することが大切です。
2-3. 低温やけどを見分けるポイント:赤み、水ぶくれ、痛み
低温やけどは、熱源に長時間触れていることでじわじわと皮膚の奥にまでダメージが及ぶやけどです。そのため、初期症状が分かりにくく、気づかないうちに重症化してしまうケースも見られます。
サウナ後の皮膚の状態をよく観察し、以下の症状が見られる場合は、低温やけどの可能性があります。
症状 | 状態 |
---|---|
赤み | 皮膚が赤くなる。範囲は様々で、一部分だけのこともあれば、広範囲にわたることもあります。 |
水ぶくれ | 皮膚の下に水ぶくれができる。水ぶくれは破れると痛みを伴い、感染症のリスクも高まります。 |
痛み | 熱い、ヒリヒリする、ズキズキするといった痛みを感じる。 |
これらの症状に加え、かゆみ、腫れ、皮膚のひりつき、皮膚の変色(茶褐色など)が現れることもあります。
自己判断せず、少しでも異常を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。
3. サウナでの低温やけど、よくある原因
3-1. 長時間サウナ室にいる
低温やけどは、比較的低い温度でも長時間熱にさらされることで起こります。サウナ室に長時間いると、たとえ心地よく感じていても、皮膚の深部にまで熱が伝わってしまい、低温やけどを引き起こすリスクが高まります。
時間 | 温度 | 低温やけどのリスク |
---|---|---|
数分 | 42℃ | 低 |
10分 | 42℃ | やや高い |
15分以上 | 42℃ | 高い |
上記はあくまでも目安であり、温度や湿度はサウナ室によって異なり、個人差もあります。ご自身の体調や皮膚の状態に合わせて、サウナの時間や温度を調整することが重要です。
3-2. 高温設定での利用
サウナの温度設定は、低温やけどのリスクに大きく関わってきます。一般的に、サウナ室の温度は80℃~100℃程度に設定されていますが、施設やサウナの種類によっては、さらに高温になる場合もあります。
高温設定のサウナに入ると、短時間で体の芯まで温まりやすいため、発汗作用も高まります。しかし、その分、皮膚への負担も大きくなり、低温やけどのリスクも高まります。
設定温度 | 体感 | 低温やけどリスク |
---|---|---|
80℃~90℃ | 比較的マイルドな熱さ | 普通 |
90℃~100℃ | かなり熱い | 高い |
100℃以上 | 非常に熱い | 非常に高い |
特に、サウナ初心者の方や、熱さに慣れていない方は、高温設定での利用は避け、無理のない温度設定でサウナを楽しむようにしましょう。
3-3. サウナマットを敷かない
サウナ室内のベンチは直接座ると、その熱によって低温やけどを引き起こす危険性があります。高温のベンチに長時間、直接肌が触れることで、低温やけどになるリスクが高まります。
サウナマットは、高温のベンチと体の間に敷くことで、熱を遮断し、皮膚が直接高温にさらされるのを防いでくれます。
サウナマット使用 | サウナマット未使用 | |
---|---|---|
肌への熱の影響 | 熱を遮断 | 直接熱が伝わる |
低温やけどリスク | 低い | 高い |
サウナマットは、自分自身の体を守るための重要なアイテムです。サウナ施設によっては、無料で貸し出している場所や、販売している場所もありますので、必ず使用しましょう。
3-4. 飲酒後のサウナ利用
飲酒後のサウナ利用は、低温やけどのリスクを高めるだけでなく、脱水症状や心筋梗塞などの重篤な健康被害を引き起こす可能性があります。飲酒すると、
- アルコールの利尿作用で体内の水分量が減少し、脱水症状になりやすい
- 体温調節機能が鈍くなり、体に熱がこもりやすくなる
- 酔っていることで、体の異変に気づきにくくなる
といった危険な状態に陥りやすいためです。
状態 | 飲酒するとどうなる? |
---|---|
体内の水分量 | アルコールの利尿作用によって水分が失われ、脱水症状に陥りやすくなります。 |
体温調節機能 | 体温調節機能が鈍くなるため、体に熱がこもりやすくなります。 |
身体感覚 | 酔っていることで、のぼせや疲労感などの体の異変に気づきにくくなります。 |
サウナに入る際は、飲酒は控え、体調を整えてから利用するようにしましょう。
4. 低温やけどを予防するための対策
4-1. サウナの時間は無理せずこまめな休憩を
サウナは気持ちが良いので、ついつい長時間入ってしまいがちです。 しかし、低温やけどを防ぐためには、サウナ室にいる時間は無理せず、こまめな休憩を挟むことが重要です。
サウナの入浴時間の目安
時間 | 説明 |
---|---|
5〜10分 | 初心者の方や、久しぶりのサウナであればこのくらいを目安にしましょう。 |
10〜15分 | ある程度サウナに慣れている方であればこのくらいが目安です。 |
15分以上 | 長時間サウナに入りたい場合でも、15分を目安に一度休憩を挟むようにしましょう。 |
上記はあくまでも目安です。ご自身の体調やサウナ室の温度設定に合わせて、無理のない範囲でサウナをお楽しみください。 「もう少し入っていたい」と思っても、まずは一度サウナ室を出ることが大切です。
4-2. 体調に合わせて温度設定
サウナの室温は施設や種類によって異なり、一般的には80~100℃程度に設定されています。高温であることに変わりはありませんが、体調やその日のコンディションによって、適切な温度設定は異なります。
体調不良時 | 適切な温度設定・時間 |
---|---|
風邪気味、発熱している | サウナの利用は控える |
過度な疲労、睡眠不足 | サウナの利用は控える |
飲酒後 | サウナの利用は控える |
持病がある、服薬中 | 医師に相談の上、利用する |
生理中、妊娠中 | 医師に相談の上、利用する |
上記はあくまで目安です。ご自身の体調と相談しながら、無理のない範囲でサウナをお楽しみください。
4-3. サウナマットは必ず使用
サウナマットは、高温のサウナ室で身体を保護するために欠かせないアイテムです。サウナマットを使用することで、低温やけどのリスクを軽減することができます。
メリット | 説明 |
---|---|
熱から断熱する効果 | 高温のサウナベンチから直接熱が伝わるのを防ぎ、皮膚への負担を軽減します。 |
クッション性による負担軽減 | 硬いベンチの上でも快適に座ることができ、長時間サウナを楽しむことができます。 |
衛生面の向上 | サウナベンチは多数の人が利用するため、共有物に触れることによる衛生面での不安を軽減できます。 |
サウナマットは、施設によって無料で提供されている場合や、レンタル・販売されている場合があります。持参も可能です。素材や厚さもさまざまなので、自分に合ったものを選びましょう。サウナマットは正しく使用することで、より安全で快適なサウナ体験を実現するために役立ちます。
4-4. 飲酒後や体調不良時の利用は控える
飲酒後や体調不良時は、サウナの利用を控えるようにしましょう。飲酒すると、アルコールの作用で体温調節機能が低下し、低温やけどのリスクが高まります。
状態 | 飲酒後や体調不良時のサウナ利用で起こる可能性のあること |
---|---|
体温調節機能の低下 | 実際よりも暑さを感じにくくなり、長時間サウナ室に滞在してしまう可能性があります。 |
脱水症状 | アルコールの利尿作用とサウナの発汗作用により、脱水症状が悪化する可能性があります。 |
めまい・吐き気 | 体調不良時にサウナを利用することで、めまいや吐き気などの症状が悪化する可能性があります。 |
また、体調が悪い時は、体力が低下しているため、サウナの利用によってさらに体調を崩してしまう可能性があります。サウナはあくまでもリフレッシュのためのものと捉え、飲酒後や体調が優れない場合は、利用を控えるように心がけましょう。
5. もし低温やけどになってしまったら?
5-1. 応急処置:冷やすことが重要
サウナで低温やけどをしてしまった場合、まずは落ち着いて、以下の手順で応急処置を行いましょう。迅速な対応が、症状の悪化を防ぐ鍵となります。
- 速やかにサウナ室を出る:まずは、熱い環境から離れましょう。
- 患部を冷やす:水道水などを使って、15~20分程度、じっくりと冷やしてください。氷水は、冷やしすぎになる可能性があるので避けましょう。
冷却に適した方法 | 注意点 |
---|---|
流水にさらす | 水圧が強すぎないように注意する |
冷たいタオルで冷やす | タオルが温まったら交換する |
- 衣服を緩める:患部を締め付ける衣服は、緩めてください。
- 安静にする: 体を休ませましょう。
応急処置の後も、痛みが引かない場合や、水ぶくれができるなどの症状が見られる場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。
5-2. 医療機関の受診:症状が重い場合や不安な場合は早めに
もし、セルフケアを行っても症状が改善しない場合や、以下のような症状が見られる場合は、自己判断せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
症状 | 説明 |
---|---|
広範囲な水ぶくれ | 特に、水ぶくれが手のひらよりも広い範囲に広がっている場合は、重症化のリスクが高まります。 |
激しい痛み | 市販の鎮痛剤で抑えられないほどの痛みがある場合は、早急に医療機関を受診してください。 |
発熱や吐き気などの症状を伴う場合 | 低温やけどが原因で、他の症状が出ている可能性があります。 |
症状が改善しない、または悪化する | 自己判断で治療を続けると、症状が悪化したり、跡が残ってしまう可能性があります。 |
自分で対処して良いか不安な場合 | 少しでも不安を感じたら、医療機関を受診し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。 |
低温やけどは、初期対応が肝心です。重症化させないためにも、自己判断せず、医療機関を受診する勇気を持ちましょう。
6. まとめ:正しい知識と予防策で安全なサウナを楽しもう
サウナは、適切に利用すれば、心身のリフレッシュに大変効果的なものです。しかし、低温やけどのリスクがあることを忘れてはいけません。安全にサウナを楽しむために、以下のポイントを常に意識しましょう。
ポイント | 詳細 |
---|---|
時間に余裕を持つ | サウナ室での滞在時間は、無理せず自分のペースで決めましょう。 |
こまめな休憩 | 体調に合わせて、こまめな休憩を挟むようにしましょう。 |
サウナマットの使用 | サウナマットは、低温やけどを防ぐために必ず使用しましょう。 |
水分補給 | サウナの前後には、しっかりと水分補給を行いましょう。 |
体調管理 | 飲酒後や体調が悪い場合は、サウナの利用は控えましょう。 |
サウナの効能を最大限に活かしつつ、健康的にサウナを楽しむために、正しい知識と予防策を身につけておきましょう。