サウナで脱水症状?めまい・吐き気を防ぐための注意点と対策

はじめに:サウナブームによる初心者増加と脱水症状のリスク

近年、サウナは老若男女問わず幅広い世代に楽しまれており、空前のサウナブームが到来しています。
そのサウナブームの背景には以下のような要因が考えられます。
- 健康志向の高まり(免疫力向上やストレス軽減など)
- サウナ特集や著名人のサウナ体験談などのようなメディアの影響
- 女性専用サウナやロウリュなどのようなサウナ施設の多様化
サウナ初心者の増加に伴い、適切な水分補給や体調管理が不十分なままサウナを利用し、脱水症状を引き起こしてしまうケースも少なくありません。サウナ室の利用方法を誤ると、脱水症状を引き起こすリスクがあることを忘れてはなりません。
このコラムでは、サウナで起こる脱水症状のリスクやそのメカニズム、具体的な症状、予防策などを詳しく解説していきます。正しい知識を身につけて、安全にサウナを楽しみましょう。
サウナで脱水症状になるメカニズム

まず、サウナで引き起こされる脱水症状にはどのようなメカニズムがあるのでしょうか。
サウナでの脱水は以下のような流れによって引き起こされます。
それぞれ詳しく解説します。
STEP1. サウナの高温環境による大量の発汗作用
サウナは、高温に設定された室内で過ごすことで大量の汗をかくことができます。この高温環境と発汗作用こそが、サウナの主な特徴と言えるでしょう。
環境 | 温度 | 湿度 | 特徴 |
---|---|---|---|
ドライサウナ | 80~100℃ | 10~20% | 高温で乾燥した環境。大量の発汗を促します。 |
ミストサウナ | 40~50℃ | 100% | 高温多湿の環境。息苦しさを感じにくいのが特徴です。 |
サウナの高温環境では、体温調節機能が働き、体から熱を逃がそうと大量の汗が分泌されます。通常、人は1日に約500mlの汗をかきますが、サウナでは1回あたり500ml〜1リットルもの汗をかくと言われています。
この大量の発汗は、体内の水分と電解質のバランスを崩す可能性があり、脱水症状を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

STEP2. 大量の発汗により体内の水分と電解質のバランスが崩れる
サウナで大量の汗をかくことは、単に体内の水分が減るだけでなく、体にとって重要な電解質も一緒に失われることを意味します。
電解質 | 働き |
---|---|
ナトリウム | 水分バランスの調整、神経や筋肉の機能維持 |
カリウム | 筋肉の収縮、正常な血圧の維持 |
カルシウム | 筋肉や神経の働き、骨の形成 |
マグネシウム | エネルギー代謝、筋肉の弛緩作用 |
これらの電解質のバランスが崩れると、さまざまな体の不調につながります。 例えば、ナトリウムが不足すると、体内の水分バランスが乱れ、脱水症状が悪化しやすくなります。 カリウムが不足すると、筋肉の痙攣や倦怠感などが起こりやすくなります。
サウナで気持ちよく汗を流すためには、水分だけでなく、電解質のバランスにも気を配ることが大切です。
サウナでの脱水症状、こんなサインを見逃さないで!

めまい・立ちくらみ・ふらつき
サウナ室から出た後や、立ち上がった際にめまいやふらつきを感じたら、脱水症状のサインかもしれません。
めまいが起こる原因は、発汗による血液量減少で脳への血流が一時的に不足することが考えられます。
急に立ち上がった際に目の前が暗くなったりクラっとする立ちくらみや、体がふらふらしてバランスがとりにくくなるふらつきなどのような症状が出た場合は、無理せず座って休憩し、水分と電解質を補給しましょう。
胃の不快感・吐き気・嘔吐
サウナ中に吐き気を感じたら、脱水症状のサインかもしれません。吐き気は、体が水分不足に陥り、胃腸の働きが弱まっていることで起こることがあります。
サウナ中、胃がムカムカしたり重苦しく感じたりする胃の不快感や、強い吐き気による嘔吐などの症状は、脱水症状以外にも、サウナの熱気による自律神経の乱れや、低血糖など、さまざまな原因が考えられます。
吐き気を伴う場合は、無理せずサウナ室から出て、涼しい場所で休憩し、水分補給を行いましょう。症状が改善しない場合は、医療機関に相談してください。
動悸
サウナ後のめまいに伴い、心臓がドキドキと強く脈打つ症状が現れることがあります。これは、医学的には動悸と呼ばれます。
サウナの高温環境下では、身体は体温上昇を抑えようと心臓の動きを活発化させ、多くの血液を循環させようとします。そして、サウナから出て急激に身体を冷やすと、今度は血管が収縮し、心臓に負担がかかりやすくなります。このような状態になると、動悸やめまいを感じやすくなってしまうのです。

心臓に負担がかかると、脈が飛んだり脈が抜けるように感じる「期外収縮」や、脈が速くなる(通常時より1分間に100回以上)「頻脈」といった動悸の症状が現れやすくなります。
サウナ後に強い動悸を感じたり、普段感じない不整脈が出現する場合は注意が必要です。安静にしても症状が改善しない場合は、循環器系の疾患リスクも考えられるため、速やかに医療機関を受診しましょう。
体がだるい・力が入らないといった倦怠感
サウナ後の心地よい疲労感とは別に、体が重だるく感じたり、力が入りにくくなるのは脱水症状のサインかもしれません。
普段通りの動作でも、以下のような場合は要注意です。
階段の上り下りがつらい…
- 一段一段上がるのが苦痛に感じる
- 手すりや壁に頼らなければ登れない etc.
椅子から立ち上がるのが困難
- 一度座るとなかなか立ち上がれない
- ふらついてしまう etc.
持ち上げられるはずのものが重い
- いつもは軽々と持てる荷物なのに今日は重く感じる
- いつもは持てるものが持ち上げられない etc.
このような倦怠感は、体内の水分不足によって筋肉への酸素供給が滞ったり、エネルギー代謝が低下することが原因として考えられます。
軽度のうちに対処することが大切ですので、サウナ後は無理せず体を休ませるようにしましょう。
締め付けられるような痛みを伴う頭痛
サウナ後の頭痛は、脱水症状のサインかもしれません。
高温のサウナ室では大量の汗をかき、体内の水分量が減少します。水分不足になると、血液の循環が悪くなり、脳に十分な酸素が供給されにくくなります。
その結果、頭部に締め付けられるような痛みを感じることがあります。
以下のような頭痛が現れた場合、脱水の影響が疑われます。
- ズキズキする頭痛、締め付けられるような痛みを伴う頭痛
- こめかみ・後頭部などの痛み
- 吐き気を伴う頭痛
このような頭痛を感じたら、無理せず涼しい場所で休憩し、水分と電解質を補給しましょう。
筋肉の痙攣(足がつる)
サウナ中に足がつってしまう、なんて経験はありませんか? これも脱水症状のサインかもしれません。
筋肉は、正常に動くために水分と電解質を必要としています。 サウナで大量の汗をかくと、体内の水分と電解質のバランスが崩れ、筋肉の痙攣が起きやすくなります。 特に以下は脱水による筋肉の痙攣が起きやすい部位です。
部位 | 症状 |
---|---|
ふくらはぎ | 筋肉が硬直し、激しく痛む |
太もも | 歩くのが困難になる |
腕 | 物がつかみにくくなる |
軽度の痙攣であれば、サウナ室から出て水分補給と休憩をとることで改善することがほとんどです。しかし、症状が重い場合や、繰り返す場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。

サウナで脱水症状を防ぐための注意点

サウナに入る前の水分補給は必須!
水分補給に最適な飲み物は?
サウナに入る前に適切な水分補給は欠かせません。 では、どのような飲み物が最適なのでしょうか?
おすすめの飲み物と、その理由を以下にまとめました。
- 水:カロリーや糖分を控えられる
- スポーツドリンク:水分と同時に電解質も補給できる
- 麦茶:カフェインを含まず、ミネラルも摂取できる
特に、大量に汗をかくサウナでは、水分だけでなく、ナトリウムなどの電解質も失われがちです。そのため、スポーツドリンクや経口補水液などで電解質も一緒に補給することが効果的です。
水分補給で避けたい飲み物は?
一方、避けるべき飲み物もあります。
- アルコール:利尿作用があり、脱水を促進する可能性がある
- カフェイン含有飲料:利尿作用があり、脱水症状を悪化させる可能性がある
サウナに入る前後のアルコールやカフェインの摂取は、脱水症状のリスクを高めるため控えましょう。
サウナを楽しむ際は、適切な飲み物を選んで、水分補給を心がけましょう。
脱水症状を防ぐサウナのポイント
初心者は5分から!サウナ室での滞在時間は自分の体調と相談しながら
サウナの効果を最大限に感じたい気持ちは分かりますが、無理は禁物です。特にサウナ初心者の方は、まず5分程度から始め、ご自身の体調と相談しながら、徐々に滞在時間を延ばしていくようにしましょう。
サウナ経験 | 推奨時間 |
---|---|
初心者 | 5分~ |
中級者 | 10分~ |
上級者 | 12分~ |
上記はあくまでも目安の時間です。サウナ室内の温度や湿度、その日の体調によって、体感時間は大きく変化します。
「少し暑いな」「息苦しいな」と感じたら、無理せずサウナ室から出て休憩しましょう。サウナは我慢比べではありません。ご自身のペースで、安全に楽しむことが大切です。
サウナ室内のテレビや会話に夢中になりすぎない
サウナ室にはテレビが設置されていたり、サウナ仲間との会話が弾む場所も多いですよね。しかし、熱気の中で長時間過ごすと、知らず知らずのうちに体への負担が大きくなってしまいます。
ついつい長居してしまうのを防ぐために、以下のポイントを意識してみましょう。
- 最初から時間を決めておく(例:砂時計やタイマーを利用)
- 体調と相談しながら、こまめな休憩を挟む
- 熱さを感じたら無理せず退室する
サウナ室では、自分自身の体と向き合い、無理なく快適に過ごせるように心がけましょう。
水風呂後の休憩も大切
水風呂でクールダウンしたら、休憩スペースで十分に体を休ませましょう。この時、失われた水分と電解質を補給することが重要です。
水やスポーツドリンクをこまめに摂取し、体内の水分量を調整し、電解質バランスを整えましょう。
十分な休憩と水分・電解質補給は、サウナの効果を高め、次回も安全に楽しめる体づくりに繋がります。

もし脱水症状になったら?適切な対処法

涼しい場所で休憩
サウナ中にめまいや吐き気を感じたら、無理をせず、すぐに涼しい場所で休憩しましょう。
場所 | 説明 |
---|---|
サウナ室の外の休憩スペース | 椅子に座ったり、横になったりして休めるスペースです。 |
脱衣所 | サウナ室から出てすぐの場所で、温度変化が比較的少ないため、休憩場所として適しています。 |
冷房の効いた部屋 | 館内施設に休憩室やロビーなどがあれば、利用してみましょう。 |
涼しい場所で休むことで、体温を下げ、発汗を抑えることができます。横になる場合は、足を少し高くすると、血流が良くなり、回復が早まります。
水分と電解質を補給
脱水症状が現れた時は、水分と電解質を同時に補給することが重要です。 水だけでは、体内の電解質バランスが整わず、回復が遅れてしまう可能性があります。
そこでおすすめなのが、スポーツドリンクや経口補水液です。
スポーツドリンク | 経口補水液 | |
---|---|---|
説明 | 運動時の水分・電解質補給を目的とした飲料 | 下痢や嘔吐などによる脱水症状の改善を目的とした飲料 |
糖分 | 比較的多い | 少ない |
電解質濃度 | 低め | 高め |
適したシーン | 発汗量の多い運動時など | 日常生活での軽度の脱水症状時や、下痢・嘔吐時など |
軽度の脱水症状であれば、スポーツドリンクでも構いません。しかし、症状が重い場合や、嘔吐や下痢を伴う場合は、電解質濃度の高い経口補水液を選びましょう。 いずれの場合も、飲みすぎると糖分の摂り過ぎになる可能性がありますので、自身の体調と相談しながら、適切な量を摂取してください。
症状が改善しない場合は医療機関へ
涼しい場所で休憩し水分・電解質を摂取しても、症状が改善しない場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
症状 | 医療機関への受診目安 |
---|---|
めまい | 改善しない、または悪化する、意識がもうろうとする場合 |
吐き気 | 水分を摂っても嘔吐が続く、嘔吐物に血が混じる場合 |
動悸 | 異常なほど速い、または不規則な脈拍が続く場合 |
倦怠感 | 日常生活に支障をきたすほどの強い倦怠感が続く場合 |
頭痛 | 激しい、または急激に悪化する頭痛の場合 |
筋肉の痙攣 | 痙攣が続く、または広範囲に広がる場合 |
自己判断は危険です。特に、意識レベルの低下や激しい症状がある場合は、ためらわず救急車を呼びましょう。サウナを楽しむ際は、自身の体調と向き合い、無理せず安全に過ごすように心がけましょう。
まとめ:正しい知識と対策で安全にサウナを楽しもう!

サウナは、正しく利用すれば、心身のリフレッシュに最適な癒やしの空間です。
しかし、脱水症状のリスクを理解し、予防策をしっかりとることが重要です。
安全にサウナを楽しむためのポイントをまとめました。
- 水分補給
サウナの前後、休憩中はこまめな水分補給を心がけましょう。 - 時間管理
サウナ室の滞在時間は、無理せず自分の体調に合わせてください。 - 体調チェック
めまいや吐き気など、体調に異変を感じたら、すぐに利用を中止しましょう。
サウナの効能を最大限に活かしながら、健康的にリフレッシュしましょう。