グランピング施設へのサウナ導入で期待できる集客力アップと差別化

自然の中で贅沢なひとときを過ごすグランピングは、近年ますます人気が高まっています。しかし、単に宿泊と食事を提供するだけでは、競合施設との差別化が難しくなってきました。
そこで注目されているのが、グランピング施設へのサウナ設置です。都会の喧騒から離れた自然の中でサウナを楽しみ、心身ともに「ととのう」体験は、ゲストにとって忘れられない思い出となります。
今回は、グランピング施設にサウナを導入する具体的なメリットと、導入前に知っておくべき課題、そして導入のステップについて詳しく解説します。

目次

グランピング施設へのサウナ設置のメリット

グランピング施設へサウナを設置することで、非日常体験の強化と集客向上、滞在時間の延長と満足度向上が見込め、さらにプライベート空間の提供が可能となります。

非日常体験の強化と集客力向上

  • グランピングとサウナの相乗効果
    グランピングの「自然の中で贅沢に過ごす」というコンセプトと、サウナの「自然の中で五感を研ぎ澄ます」という体験は非常に相性が良いです。都会のサウナ施設では味わえない特別な体験を提供できます。
  • 「ととのい」の質向上
    サウナ後の「ととのい」体験は、周囲の景観が大きく影響します。グランピング施設は、美しい森、川、湖、星空といった自然に囲まれており、都会のビル群では得られない極上のリラックス体験を提供できます。
  • サウナ愛好家(サウナー)の獲得
    近年、サウナはブームを超え、ライフスタイルの一部となっています。サウナ愛好家は、サウナの質や環境を重視して宿泊先を選びます。サウナ設備があるだけで、新たな顧客層を開拓し、集客力を大幅に高めることができます。

滞在時間の延長と満足度向上

  • アクティビティとしての付加価値
    グランピング施設での過ごし方は、食事やBBQが中心となることが多いですが、サウナはそれ自体が大きなアクティビティとなります。サウナ利用のために滞在時間が延び、施設内での消費(ドリンク、軽食など)も増える可能性があります。
  • リピーターの獲得
    特別な体験は、顧客の心に深く残ります。サウナ目当てで宿泊した顧客は、その体験に満足すればリピーターになる可能性が高まります。

プライベート空間の提供

多くのグランピング施設は、一棟貸しや独立したテントでの宿泊を提供しています。
サウナも同様に、各サイトに個別に設置したり、時間ごとの貸切制にすることで、完全なプライベート空間でサウナを楽しむことができます。これは、公共のサウナ施設では得られない大きな魅力です。

グランピング施設ならではの課題

グランピング施設へのサウナ導入にはいくつかの課題もあります。

設置・維持コストの高さ

  • 初期投資とランニングコスト
    サウナ小屋の購入、運搬、設置工事には多額の初期費用がかかります。特に自然の中での設置は、通常の建築物よりもコストや手間がかかる場合があります。さらに、薪代や電気代、水質管理、清掃、メンテナンスといったランニングコストも考慮する必要があります。
  • 自然環境下での設備管理
    屋外に設置されることが多いため、雨風による劣化が早まりやすいです。また、野生動物の侵入や、薪ストーブを使用する場合は火災のリスク管理が重要になります。

運営上の手間と安全性への配慮

  • 安全管理の徹底
    薪ストーブを使用する場合、火の取り扱いに関する利用客への注意喚起は必須です。火災の危険性を理解してもらい、利用方法を丁寧に説明する必要があります。また、水風呂の衛生管理、ストーブの故障や熱傷防止のための定期的な点検も欠かせません。
  • 人件費の増加
    サウナの利用方法説明、清掃、薪の補充、ストーブの状態確認など、サウナ専門のスタッフを配置するか、既存スタッフの業務負担が増える可能性があります。

規制や環境への配慮

  • 法律・条例の複雑さ
    自然の中にサウナを設置する場合、「建築基準法」や「消防法」に加えて、景観条例や自然公園法など、その地域の特性に応じた様々な規制を受ける可能性があります。事前の調査と自治体への相談が必須です。
  • 環境への影響
    薪ストーブの煙や灰、排水が周辺の自然環境に与える影響も考慮しなければなりません。地域によっては、環境保護の観点から薪ストーブの使用が制限される場合もあります。

グランピング施設へのサウナ導入で最初に確認すべきこと

サウナ設置についての計画

グランピング施設にサウナを導入する際は、以下について検討してから導入しましょう。

  • コンセプト設計と計画:どのようなサウナ体験を提供したいかを具体的に考えます。
  • ターゲット:どのような客層にサウナを楽しんでもらいたいか。
  • サウナの種類:どのようなタイプのサウナを設置するか(バレルサウナ、テントサウナなど)。
  • 動線:サウナから水風呂、休憩スペースへの流れをどうするか。
  • 付帯設備:シャワー、更衣室、ドリンクバーなどを設置するかどうか。
  • 業者選定と導入:サウナメーカーや専門業者に相談し、施設に合ったサウナを選び、設置工事を行います。

法律・規制の確認

サウナは「公衆浴場法」「消防法」「建築基準法」といった法律や、自治体の条例の規制を受ける場合があります。

  • 公衆浴場法:営業許可の取得が必要となる場合が多く、事前に各自治体の保健所へ相談することが必須です。
  • 建築基準法::建築物とみなされる場合(特に屋外に固定設置する場合)は、建築確認申請が必要となる場合があります。面積や設置場所(防火地域・準防火地域)によって規制が異なります。
  • 消防法:火災防止のための基準(ストーブの設置基準、消火器の設置など)を満たす必要があります。

グランピング施設におすすめのサウナ小屋

グランピング施設では、自然の景観と調和しやすい屋外設置型のサウナが人気です。

  • バレルサウナ
    樽型のユニークなデザインで、アウトドア感を高めます。屋外に置いても景観に馴染みやすく、本格的なサウナ体験が可能です。
  • ログサウナ(サウナ小屋)
    フィンランド式の本格的なサウナ小屋で、木の香りと温かみが魅力です。設置にはスペースが必要ですが、高いプライベート感と快適性を提供できます。
  • テントサウナ
    設置・撤収が容易で、移動が可能です。川や湖畔など、好きな場所に設置できるのが最大の魅力。手軽に導入でき、イベント的な要素も演出できます。
  • モバイルサウナ(サウナトレーラー)
    トレーラーにサウナが設置されており、移動が可能です。イベントや需要に応じて配置を変えられるため、柔軟な運用ができます。

グランピング施設へのサウナ導入にかかる費用

サウナの導入費用は、選ぶサウナの種類や規模によって大きく異なります。目安としては以下の通りです。

  • テントサウナ: 20万円〜
  • バレルサウナ: 100万円〜
  • ログサウナ: 150万円〜
  • 業務用サウナ(大規模施設): 数千万円〜1億円以上かかる場合もあり

これらの費用には、サウナ本体の価格に加えて、運搬費、設置工事費、電気工事費、給排水工事費などが含まれます。
グランピング施設の場合、既存の水道光熱費に加え、サウナの運用にかかる費用(電気代、薪代など)も考慮する必要があります。

グランピング施設のサウナ運営のポイント

サウナを導入するだけでなく、快適なサウナ体験を提供するための準備も重要です。

  • 水風呂・外気浴スペースの整備:サウナ体験を完成させるためには、冷水浴と外気浴が必須です。水風呂やシャワー、チェアなどを配置し、快適な「ととのい」空間を確保しましょう。
  • アメニティの充実:サウナハット、タオル、ガウン、バスローブなどのアメニティを用意することで、顧客満足度が向上します。
  • マーケティング:サウナ付きであることを前面に出し、サウナ好きをターゲットにしたPRを行うことで、集客につながります。

サウナ設置は、グランピング施設の魅力を大きく高める要素となりますが、多岐にわたる準備と専門的な知識が必要です。計画段階から専門の業者や自治体に相談し、着実に進めていくことをお勧めします。

まとめ:グランピング×サウナで非日常体験を創出する

グランピング施設にサウナを導入することは、集客力の向上や顧客満足度の向上に直結する非常に有効な手段です。自然と調和した非日常的なサウナ体験は、単なる宿泊施設としての魅力を超え、新たな価値を提供します。しかし、多額の初期投資や、法律・安全管理面での課題も考慮しなければなりません。これらのメリットとデメリットを十分に理解し、ターゲット顧客や施設のコンセプトに合ったサウナを選定することで、競合との差別化を図り、持続可能な運営につなげることができるでしょう。

執筆者

注文住宅会社での20年以上の経験とサウナ好きがこうじて、サウナストーブを独自企画。実際にフィンランドやエストニアへの視察を行い本場のサウナ文化を感じた上で、フィンランド式のサウナストーブを製品化。ストーブの販売から設置、ブース施工までお任せください!

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