【宿泊施設運営者様向け】宿泊施設とサウナ導入の可能性と投資効果

旅行者は非日常的な空間でのリラックスや旅の疲れの癒しを強く求めています。近年のサウナブームにより、宿泊施設にもサウナ設備を求めるニーズが増えており、他の宿泊施設との差別化を図るという点においても、宿泊施設へのサウナ導入は注目を集めています。
サウナは単なる機能的な設備としてだけでなく、「特別な体験」や「ワンランク上の滞在」を求めるユーザーにとって、付加価値の高い要素として捉えられているようです。
今回は、宿泊施設へのサウナ導入がもたらす具体的なメリット、投資回収の可能性、そして導入にあたって考慮すべき重要なポイントについて詳しく解説していきます。
宿泊施設選びにサウナは重要?サウナの投資効果とは?
近年、様々な設備が充実した宿泊施設が増えています。中でもサウナが利用できる宿泊施設のニーズは少しずつ増えているようです。
以下は鵜山リゾート株式会社が2024年3月5日~2024年3月8日に実施したアンケート調査の結果です。
コテージへの宿泊を検討している人・グランピングへの宿泊を検討している人、どちらも約4割は、サウナの有無を重視して宿泊施設を選んでいるという結果でした。
調査結果から、ユーザーは非日常空間でのリラックスや旅の疲れの癒しを重視していることが伺えます。また、サウナは特別な体験や付加価値として捉えられ、ユーザーはワンランク上の滞在を求めていることが考えられます。
【サウナの投資効果】宿泊施設へのサウナ導入のメリットとは
宿泊施設へのサウナ導入には、以下のような様々なメリットがあります。
- 顧客満足度とリピート率の向上
- 集客力の向上
- 施設の付加価値向上
詳しく解説します。
顧客満足度とリピート率の向上

旅の疲れはもちろん、日常生活での疲れなど、多くの旅行客は日常と離れ、特別な体験ができる宿泊施設に“癒し”を求めています。その宿泊施設でしか体験できないリラックスできる時間の提供は、顧客満足度向上に大きく貢献する可能性を秘めています。
「サウナがある宿泊施設」という貴重な体験は特別な思い出として記憶され、再び利用したいと考えるユーザーも少なくないでしょう。特にサウナ好きなユーザーはリピート利用してもらえる可能性がより高くなります。
また、温泉がない施設などはサウナ設備がその代替となり、その宿泊施設のセールスポイントにすることもできます。
サウナを設置した宿泊施設をPRする際、ターゲット層を絞り込んでPRする際には、サウナ好きな方はもちろん、健康志向の方にも効果的にアプローチできるのではないでしょうか。
集客力の向上

周辺の宿泊施設との差別化を図りたい場合、「サウナ付き」という特徴は大きな強みになります。予約サイトや広告などで「サウナ付き」をアピールすることで注目されやすくなり、また、これまでターゲットとしていなかったサウナ愛好家層を惹きつけることができます。
顧客満足度が高まれば、口コミ効果による集客力向上も期待できるようになります。SNSや口コミサイト等で広まることで、広告費を押さえた集客が可能となってきます。
施設の付加価値向上

サウナと組み合わせた宿泊プランなど、プランの多様化にもサウナを活用でき、さらには、サウナ付きプランを設定することで、客室単価の向上が見込めます。
また、通常ならオフシーズンとなる時期においても、サウナ目当てのユーザーを呼び込むことができるため、通年で利用客を維持でき、稼働率を高められる可能性もあります。

宿泊施設へのサウナ導入は投資回収率に優れているのか
先述したサウナ導入のメリットにより、宿泊施設へのサウナ導入は投資回収率を高める可能性があります。サウナ導入の際には以下の項目に注意することで、投資回収率を効率的に高めることができます。
- 初期投資額
- 維持費
- 集客力
- 運営方法
詳しく解説します。
初期投資額

サウナの種類や規模、設置場所、内装などによって初期投資額は大きく変動します。次に解説する「維持費」とのバランスを考慮し、費用対効果の高い設備を選定することが重要となります。
維持費

光熱費や水道費、メンテナンス費用、清掃費用などが継続的に発生します。初期投資額とのバランスを考え、今後の運営に無理のない設備を選ぶようにしましょう。
維持費を抑えるための具体的な工夫として、以下が挙げられます。
- 清掃・メンテナンス:専門業者による定期的なメンテナンス契約や、利用後の清掃手順のマニュアル化。
- 熱源の選択:薪ストーブは燃料調達の手間がかかるが、電気に比べて燃料費を抑えられる場合がある。電気ストーブは安定稼働するが、高額な電気代に注意。
- 水風呂の運用:チラー(冷却機)導入による水の使い回し(清潔管理は必須)や、水風呂用の給湯・排水の自動化による人件費削減。
集客力

宿泊施設にサウナを導入しても、ターゲット層に効果的にアピールできなければ、期待通りの集客に繋がらない可能性があります。
どのようなターゲット層にサウナをアピールするのかを明確にし、サウナの魅力をターゲット層に効果的に伝えるためのプロモーション戦略を策定することがポイントとなります。
例えば、ターゲット層をサウナ愛好家とした場合、サウナ愛好家に響く具体的なPR戦略として以下のような方法があります。
- 「ととのい」環境の訴求:サウナ室内の温度・湿度、水風呂の温度(チラー使用の有無)、外気浴スペースの写真、インフィニティチェアなどの具体的な設備名を明記する。
- SNS映えの強調:バレルサウナ、絶景と一体化した外気浴スペースなど、視覚的に魅力的な画像を積極的に発信する。
- 体験談の活用:実際に利用したサウナ愛好家やインフルエンサーによるレビューを収集し、プロモーションに活用する。
- アメニティの充実:サウナハット、サウナマット、サウナポンチョなどのレンタル・販売を充実させる。
運営方法

サウナの利用時間や料金設定、予約システムなどがユーザーのニーズに合致していなければ、利用率が伸び悩む可能性があります。ユーザーの意見を積極的に取り入れ、改善を図ることで、リピート率向上に繋げることができます。また、清潔で快適なサウナ環境を提供できる運営体制を構築し、顧客満足度を高めることも重要です。

宿泊施設へのサウナ導入 投資効果を最大化させるポイント
宿泊施設へのサウナ導入を検討する際、以下のポイントについて抑えておきましょう。
ターゲットとサウナの「種類」のマッチング
「サウナがある」だけでなく、ターゲットに合わせたサウナの種類を選ぶことが差別化の鍵となります。
| サウナの種類 | 主な特徴 | 推奨される宿泊施設 |
| プライベートサウナ(個室) | 他の客を気にせず利用できる。 カップルや家族層に最適。 ロウリュ設備は必須。 | 高級ヴィラ、貸別荘、リゾートホテルのスイートルーム |
| バレルサウナ(樽型) | 設置工事が容易で、アウトドア感を演出。 SNS映えしやすい。 | グランピング施設、コテージ、自然豊かな立地のアウトドア系施設 |
| 本格フィンランド式(共用) | 大型のストーブと広々とした空間。温度と湿度を重視するサウナ愛好家向け。 | 大規模な温泉旅館、シティホテルのスパエリア。 |
| 水風呂の有無と仕様 | シングル(10℃以下)対応のチラー導入や、外気浴スペースの充実がコアなサウナファンを惹きつける。 | 全てのサウナ付き施設(特にリピーター獲得を目指す場合) |
設置における法規制・技術的なチェックリスト
サウナは火気や電気、給排水に関わるため、導入前に以下の確認が必要です。
- 消防法・建築基準法: 設置場所の構造制限、火災報知器の設置、防火措置(特に薪ストーブの場合)の確認。
- 電気設備: 使用するサウナストーブ(特に高出力の電気ストーブ)に対応する電源容量(動力/単相)の確保。
- 換気・排煙: 適切な換気計画、および薪ストーブの場合は排煙設備の設計。
料金設定と運用モデル
単なる無料設備とするだけでなく、収益源とすることが重要です。
| 運用モデル | メリット | デメリット |
| 宿泊者無料(共用型) | 全ての顧客満足度向上、リピート率向上。 | 利用時間帯の集中、清掃コスト増。 |
| 有料・時間貸切制(プライベート型) | 収益性の最大化(客室単価への上乗せ)、利用時間の平準化。 | 事前予約の手間、利用単価が高くなる可能性。 |
| サウナ付き特別プラン | 客室単価の大幅向上、ハイエンド層の集客。 | 設備を持たない客室との価格差の説明が必要。 |

まとめ:宿泊施設へのサウナ導入で期待できる投資効果

近年のサウナ人気を背景に、宿泊施設選びでサウナの有無を重視するユーザーが多いということが分かりました。
旅行者は非日常的な特別な体験を求めており、サウナは顧客満足度向上、リピート率増加、集客力強化、そして施設価値向上に貢献する可能性を秘めています。宿泊施設へのサウナ導入は、客室単価向上やオフシーズンの集客にも繋がり、投資回収率を高める可能性があります。
ただし、初期投資額と維持費のバランス、明確なターゲット設定と効果的なプロモーション、そしてユーザーニーズに合致した運営方法が成功の鍵となります。
清潔で快適な環境を提供し、顧客の声に耳を傾けることで、サウナは宿泊施設の競争力強化と収益向上に貢献するでしょう。


