外気浴はストレス!?冬のサウナでととのうための完全ガイド

サウナーにとって至福の瞬間である「ととのい」。しかし、「冬になるとどうもととのいにくい」「外気浴で体が冷えすぎてしまう」と感じた経験はありませんか?
今回は、冬のサウナが「ととのいにくい」と感じる具体的な理由を科学的な視点から解説します。その上で、寒さを逆手にとった冬ならではの健康効果を最大限に引き出すための具体的な対策、そして役立つおすすめアイテムをご紹介します。
冬のサウナはととのいにくい?

冬のサウナはととのいにくいと感じる人が多いようです。ととのいにくいと感じやすくなる具体的な理由として、以下が挙げられます。
- 外気浴が「リラックス」ではなく「ストレス」になる
通常、サウナ・水風呂で交感神経が優位になった後、外気浴により、副交感神経が活発になります。この交感神経から副交感神経への切り替えがリラックスに繋がりますが、冬は少し異なります。
冬もサウナ・水風呂により交感神経が優位になりますが、その後の外気浴でも、寒さにより交感神経が活発になり、ストレスを感じやすくなります。
- 気化熱による体温の急激な低下
水風呂後や汗をかいた後、体に付いた水滴が蒸発する際に、体の熱を奪っていきます(気化熱)。
夏はこの気化熱が心地よいクールダウンになりますが、冬は外気温が低いため、この熱の奪われ方が急激で、あっという間に体が冷え切ってしまいます。体が冷えすぎると、リラックスどころではなくなります。
- サウナに入る前の体温が低い
冬は外の寒さでサウナに入る前から体が冷えているため、サウナ室で温まりきらないうちに水風呂に入ると、体の表面だけでなく芯まで冷えてしまいやすいことがあります。芯まで冷えると、その後の休憩で温まり直すのが難しくなります。
冬のサウナに期待できる効果

冬の寒い時期のサウナは、ととのいにくさはあるものの、体が冷えやすい季節だからこそ得られる、様々な健康効果が期待できます。特に冬にうれしい健康効果は以下の通りです。
免疫力アップ
サウナで体温が一時的に上昇すると、体内のヒートショックプロテインというタンパク質が生まれます。ヒートショックプロテインは、細胞の修復や再生を助ける働きがあり、免疫細胞を活性化させる効果があるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすい冬の健康維持に役立つと期待されています。
サウナと水風呂の温冷交代浴による血流の変化も、免疫細胞が体内を巡る速度を速める助けになるとされています。
冷え性の改善と血行促進
冬は寒さで血管が収縮し、特に手足の末端が冷えやすくなります。サウナの高温環境で身体の深部まで温まることで、血管が大きく広がり、血流が通常の約2倍に増加すると言われています。これにより、血行不良からくる冷え性の症状を軽減し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りやすくなります。
疲労回復とコリの緩和
発汗作用により、疲れの元となる乳酸などの老廃物が汗と一緒に体外へ分泌されやすくなります。また、血行促進効果は、筋肉の強張りや、血行不良が原因とされる肩こり・腰痛などのプチ不調の改善にもつながります。
自律神経の調整力向上
熱いサウナ(交感神経優位)と冷たい水風呂(副交感神経優位への切り替え)を繰り返す温冷交代浴には、乱れがちな自律神経のバランスを整える効果が期待できます。
冬の急激な寒暖差は体調不良を引き起こしやすいですが、サウナはこれに対する体の適応力を鍛えるのに役立ちます。
ストレス解消とリラックス
温冷交代浴の後の休憩では、副交感神経が優位になり、心身ともに深いリラックス状態になります。大量の汗をかいてスッキリすることに加え、リラックス状態になることで、コルチゾールというストレスホルモンの分泌が抑制されることが研究で報告されており、メンタルヘルスにも良い影響を与えます。

冬のサウナを効果的にするポイント

冬のサウナでしっかりととのうには、最大の敵である「寒さによるリラックスの妨げ」を徹底的に排除することが重要です。外気浴で体が冷えすぎてしまうと、心地よさより寒さが勝ってしまい、副交感神経が優位にならず「ととのい」が遠のきます。
以下のポイントを押さえ、体を「冷やしすぎず、しかしクールダウンさせる」ことを目指しましょう。
サウナ前の「湯通し」で体の芯まで温める
冬場は体が冷えているため、サウナ室の熱が体の表面にしか届かないことがあります。サウナに入る前に、まずは浴槽にゆっくりと浸かり、体を芯まで温めておきましょう。これを「湯通し」と呼びます。
「湯通し」により体が温まった状態でサウナに入ると、発汗が促されやすくなり、短時間でしっかりと温まることができます。湯船がない施設の場合は、低温サウナでゆっくり温まってから高温サウナに移るのがおすすめです。
水風呂後の「気化熱」を完全に防ぐ
水風呂後の休憩で体が急激に冷える最大の原因は、濡れた体の水分が蒸発する際に熱を奪う「気化熱」です。水風呂から出たら、休憩場所へ向かう前に、必ず乾いたタオルで体の水滴を丁寧に、完全に拭き取りましょう。
「内気浴」や「保温アイテム」で寒さを防ぐ
外気浴の寒さが耐えられないと感じる場合は、無理せず環境を調整することが重要です。
- 内気浴の活用
露天風呂エリアなどに行かず、浴室内の休憩スペースや、空調の効いた場所で休憩しましょう。寒さのストレスがなく、リラックスしやすくなります。
- サウナポンチョやタオルを羽織る
乾いたバスタオルや、保温性に優れたサウナポンチョを羽織ると、冷たい外気に直接肌が触れるのを防ぎ、体温の低下を緩やかにできます。頭まで覆えるフード付きだと、頭から冷えるのを防げるため特におすすめです。
- 寝湯(ぬるめの湯船)
休憩用の寝湯や、ぬるめの浴槽の縁に座り、半身浴のような状態で休憩するのも効果的です。完全に冷え切るのを防ぎながら、外気浴に近いリラックス感が得られます。
水風呂の入り方を調整する
冬場の水風呂は水温が低くなりがちで、初心者には刺激が強すぎることがあります。水風呂に入る時間を普段より少し短くし、「体の表面の粗熱が取れる」程度に留め、体の芯まで冷やしすぎないようにしましょう。
また、水風呂に抵抗がある場合は少し冷たいシャワーやかけ水でクールダウンするだけでも、十分な効果が得られます。

冬のサウナで役立つおすすめアイテム

冬のサウナで快適にととのうために役立つ、特におすすめのアイテムをご紹介します。これらは、寒さ対策とリラックス効果を高めるのに非常に効果的です。
徹底した寒さ対策・保温アイテム
- サウナポンチョ
冬のサウナで最も人気があり、必須と言えるアイテムです。
サウナポンチョを着用することで、水風呂後の休憩中に冷たい外気から体を守り、体温が急激に下がるのを防ぎます。体を拭く手間を軽減し、そのまま羽織ってリラックスできます。
吸水性と速乾性に優れた素材(タオル地やマイクロファイバー)で、頭まで覆えるフード付きを選ぶと、頭部の冷えも防げて完璧です。
- 乾いたバスタオルやサウナマット
水風呂後の水滴の拭き取りと座面の保温に使います。
休憩に向かう前に体についた水分を完全に拭き取ることで水風呂後の気化熱を防止できます。この体の水分を拭き取るのに、予備の乾いたタオルがあると便利です。
また、内気浴や外気浴の椅子に敷くことで、冷たい座面に直接触れるのを防ぎ、冷えを防いで快適さが増します。
リラックスと快適性を高めるアイテム
- サウナハット
頭部の保温・保護は冬でも重要です。
サウナハットをかぶることで、サウナ室の熱から髪の毛と頭皮を守り、のぼせを防いで長時間サウナに入りやすくします。また、水風呂後、濡れた髪や頭部が外気浴で冷えるのを防ぎます。
- 保湿クリーム・乳液
冬は乾燥しやすいので、サウナ後のスキンケアは必須です。サウナと水風呂を繰り返すと肌が乾燥しやすくなります。休憩中や退館後の肌の乾燥を防ぐため、保湿性の高いクリームやオールインワンジェルを持っていくと良いでしょう。
- 保温性の高いドリンクボトル
休憩中の水分補給用です。冷たい飲み物だけでなく、あえて常温か、温かい飲み物(白湯や麦茶など)を保温ボトルに入れて持参し、休憩中に飲むと、体の内側からじんわりと温まり、冷えすぎを防ぐことができます。

まとめ:冬のととのいは工夫次第!寒さを超えたサウナ体験を

冬のサウナは「ととのいにくい」と感じる要因が確かに多く存在します。しかし、それは裏を返せば、「寒さ対策」というひと手間を加えるだけで、格別の恩恵を受けられるということでもあります。「湯通し」で体の芯まで温め、「水滴の完全な拭き取り」で急激な冷えを防ぎ、「内気浴やポンチョ」で寒さをストレスにしない環境を整える。こうした工夫一つ一つが、交感神経から副交感神経へのスムーズな切り替えを助け、深いリラックスへと導いてくれます。
免疫力向上や冷え性改善など、冬に嬉しい健康効果も期待できるサウナ。ぜひ、今回ご紹介したポイントとアイテムを活用して、冬の澄み切った空気の中でしか味わえない、最高に心地よい「ととのい」体験を楽しんでください。


