サウナで息苦しいのはなぜ?原因と対処法を徹底解説!

サウナブームの加熱とともにサウナを始める人が増える中、「サウナは熱くて息苦しい」「なんだか心臓がバクバクする」と感じて、苦手意識を持っている人は少なくありません。特にサウナ経験の浅い初心者は息苦しさを感じやすい傾向にあります。
しかし、その息苦しさの正体を知り、適切な対策を講じれば、サウナは我慢大会ではなく、最高のリラックス体験へと変わります。今回は、なぜサウナで息苦しさを感じるのかというメカニズムからすぐに実践できる予防法まで、徹底的に解説します。

目次

「サウナは息苦しい」初心者は特に感じやすい傾向が

サウナに入った時、「息苦しい」と感じる人は意外と少なくないようです。特にサウナ初心者は息苦しさを感じやすい傾向があります。それは以下のような理由が考えられます。

  • 高温環境への体の慣れ(順応)が不足している
    サウナに入ると心拍数が上がり、体が熱に対応しようとしますが、初心者の場合、この急激な変化に体が追いつかず、より強く息苦しさや動悸を感じやすくなります。
  • 熱い空気への対処法が未習得
    サウナの熱く乾燥した空気で鼻や喉の粘膜が刺激され、呼吸がしづらくなるという現象は、前回説明した通りです。初心者は、濡れたタオルで口元を覆うなどの対策を知らないため、熱い空気を直接吸い込み、苦痛を感じやすいです。
  • サウナ室内の温度差を知らない
    サウナ室の熱は上段に溜まるため、上段に座ると体感温度が格段に高くなります。初心者が上段に座ってしまうと、短時間で過度な熱負荷がかかり、すぐに息苦しくなってしまいます。
  • 無理をして長く入ろうとする
    「サウナは我慢するもの」と誤解して、苦しいのに長時間耐えようとすることで、体への負担が限界を超え、息苦しさが増してしまいます。

サウナで「息苦しい」と感じるメカニズム

サウナの息苦しさは初心者に限らず、サウナに慣れた人でも感じる人がいます。サウナの息苦しさは以下のようなメカニズムにより起こります。

  • 空気中の酸素濃度の低下
    サウナ室は非常に高温(一般的に90℃前後)に保たれています。空気は熱せられると膨張する性質があるため、体積あたりの空気の分子数が減ります。
    その結果、単位体積あたりの酸素の量(酸素濃度)が薄くなるため、普段と同じように呼吸をしていても、体に取り込める酸素が不足しやすくなり、息苦しさを感じることがあります。
  • 高温と乾燥による呼吸器への影響
    特に湿度が低いドライサウナでは、熱く乾燥した空気を吸い込むことで、鼻や喉の粘膜が乾燥し、刺激を受けたり、ヒリヒリしたりすることがあります。
    この刺激から気道が防御反応として収縮したり、呼吸が浅くなったりすることで、さらに息苦しさを感じやすくなります。
  • 身体への負荷の増加
    高温環境では、体温を下げようとして血流が増え、心拍数(脈拍)が上昇します。これは体にとって軽い運動のような負荷がかかっている状態であり、より多くの酸素を必要とします。
    普段よりも多くの酸素が必要になるのに対し、サウナ室内の酸素濃度は薄いため、酸素不足になりやすく、動悸や息苦しさを感じることがあります。

サウナを「息苦しい」と感じにくくする予防法

サウナの息苦しさを感じにくくする予防法をご紹介します。サウナの息苦しさが苦手な方は以下の3点を試してみてください。

  1. 水分補給を徹底する
    サウナに入る前と、サウナ後の休憩中には、しっかりと水分補給をしてください。脱水は血流を悪くし、息苦しさの原因となる心臓への負荷を高めます。
  2. 低い段から始める
    初心者のうちは、最も熱が弱い下段(一番下のベンチ)から始めて、徐々に体を慣らしましょう。上段に挑戦するのは、体がサウナに慣れてきてからで十分です。
  3. 無理のない時間で切り上げる
    「サウナは10分」といった時間にこだわる必要はありません。「心地よい」と感じられるうちに、または「少しきついかな?」と感じた時点で退出する習慣をつけましょう。

サウナに入って「息苦しい」と感じた時の対処法

先述した予防法を行っても息苦しいと感じた場合は、以下の対処法を実践してみてください。

  1. すぐに退出する
    最優先事項です。息苦しさは、体が熱ストレスや酸素不足の限界に近づいているサインです。我慢せず、直ちにサウナ室から出て、涼しい場所(休憩スペースや水風呂の前など)へ移動してください。
  2. 濡れたタオルで口と鼻を覆う
    高温で乾燥した空気が喉や気道を刺激していることが、息苦しさの大きな原因です。濡らしたタオル(サウナ室に持ち込んでいる場合)を絞って口と鼻に当てることで、吸い込む空気の温度が下がり、湿度が適度に加わって刺激が和らぎます。
  3. 姿勢を変えて呼吸を整える
    座っている場合は、背筋を伸ばし、顎を軽く引いた状態で、腹式呼吸を意識します。「ゆっくり吸って、時間をかけてゆっくり吐く」という深い呼吸を数回繰り返すことで、心拍数が落ち着き、リラックス効果(副交感神経の活性化)が高まります。

サウナが息苦しい時にあると便利なアイテム

サウナの息苦しさを改善するアイテムは、主に呼吸器の粘膜の乾燥を防いだり、吸い込む空気の温度を下げる効果を持つものに絞られます。
特に有効なおすすめアイテムは以下の通りです。

  • サウナ専用マスク
    息苦しさ対策の専用アイテムとして、近年人気が高まっています。
    サウナの高温・乾燥に耐えられる素材でできており、呼吸のしやすさに特化して設計されています。
    マスクを水で濡らして軽く絞ってから着用すると、マスクの水分が口元の空気の湿度を上げ、吸い込む空気の温度を下げるため、喉や鼻の乾燥や熱によるヒリヒリ感を大幅に軽減できます。
  • サウナハット
    サウナハットは頭部の保護が主な目的ですが、使い方次第で息苦しさの改善にも役立ちます。サウナハットを深めに被ることで、熱気が顔全体に当たるのを防ぎ、顔周りの空気の温度を下げることができます。
  • タオル
    タオルは、先述のサウナマスクやサウナハットの代用としても非常に優秀な万能アイテムです。吸水性・速乾性に優れた長めのタオル(手ぬぐい生地など)を選べば、頭に巻く(ハットの代わり)ことはもちろん、濡らして口元を覆うのにも最適です。
    代用としてタオルを使うことで、荷物を減らせる上、何度も絞って濡らし直し、常に湿った空気を吸い込むことができます。

「息苦しい」と感じにくいサウナの種類

サウナの息苦しさに慣れない人は、湿度が高いか温度が低いサウナを選ぶことをおすすめします。一般的な高温で湿度が低い「ドライサウナ」は、熱気と乾燥によって息苦しさを感じやすい傾向にあります。
息苦しさを感じにくいサウナの種類として、特におすすめなのは以下のタイプです。

湿式サウナ(ミストサウナ・スチームサウナ)

湿式サウナは温度が40~70℃程度、湿度が80~100%程度の低温多湿となっています。また、熱い蒸気や霧状のお湯で室内を満たしています。
そのため、熱気が強くないだけでなく、湿度が高いことから鼻や喉の粘膜が乾燥しにくく、呼吸がラクに感じられます。さらに、肌や髪への負担も少なく、サウナ初心者にはおすすめのサウナです。

ロウリュができるサウナ(フィンランド式サウナなど)

ロウリュとはサウナストーンに水(アロマ水)をかけて蒸気を発生させる入浴法です。温度はドライサウナに近いことが多いですが、ロウリュで湿度を高く保てます。湿度が高くなることで、熱い空気の乾燥感が和らぎ、呼吸がしやすくなります。また、蒸気を含んだ熱気が、高温と乾燥から皮膚や粘膜を守ってくれます。

遠赤外線サウナ

遠赤外線の輻射熱(ふくしゃねつ)で、体を芯から直接温めるタイプのサウナです。室温は 40~60℃程度と低めです。
空気を直接熱しているわけではないため、熱苦しさや息苦しさを感じにくいです。また、体への負担が少なく、長時間入りやすいというメリットもあります。

まとめ:自分に合った対策で息苦しいサウナを克服!

「息苦しさ」は、サウナ室の環境、特に高温・乾燥や酸素濃度の低下が原因で生じる体の自然な反応です。初心者の方やドライサウナが苦手な方は、まず下段から入り、無理せず退出することが何よりも大切です。
さらに、濡れタオルで口元を覆う、サウナ専用マスクを利用する、湿式サウナを選ぶといった対策を講じることで、息苦しさは大きく軽減できます。これらの工夫を取り入れれば、熱い空気に苦しむことなく、サウナが持つ温浴・温冷交代浴による「ととのい」の真の心地よさを体験できるようになるでしょう。自分に合った方法で、安全に快適なサウナライフを楽しんでください。

執筆者

注文住宅会社での20年以上の経験とサウナ好きがこうじて、サウナストーブを独自企画。実際にフィンランドやエストニアへの視察を行い本場のサウナ文化を感じた上で、フィンランド式のサウナストーブを製品化。ストーブの販売から設置、ブース施工までお任せください!

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