熱波師から管理士まで!サウナ施設運営・利用に役立つ資格ガイド

近年、心身をリフレッシュする手段としてサウナが定着し、多くの人がその魅力にハマっています。しかし、サウナを安全かつ最大限に楽しむためには、正しい知識が不可欠です。
このサウナブームにより、サウナに関する専門資格の注目度が急上昇しており、サウナの知識を学びたいというニーズが顕在化しています。
今回は、サウナ関連の資格の種類、取得するメリット、そして施設運営に必要な法的要件まで、幅広くご紹介します。

目次

注目度上昇中!サウナに関する資格

近年の「サウナブーム」の影響を受け、サウナに関する資格が注目されています。例えば、公益社団法人 日本サウナ・スパ協会のデータによると、サウナ・スパ 健康アドバイザーの累計登録者数は、45,000名以上(2024年度事業報告書時点)に達しています。(出典:公益社団法人日本サウナ・スパ協会 2024年度事業報告書

資格取得者増加の背景には、ドラマ「サ道」などのメディアの影響や、サウナの健康効果への関心の高まりがあるとされています。このことからも、サウナの知識を体系的に学びたいというニーズが高まり、資格取得者が増加傾向にあると言えます。

サウナ関連の資格 取得するメリット

サウナに関する資格を取得するメリットは、大きく分けて「実務・キャリアに活かすメリット」と「個人的な体験を深めるメリット」の2つがあります。

実務・キャリアに活かすメリット

  • 就職・転職時のアピール
    サウナ関連施設(温浴施設、スパ、サウナ特化店など)への就職や転職の際、サウナへの熱意と専門知識を客観的に証明できます。
    【例】サウナ・スパ 健康アドバイザー、サウナ・スパ プロフェッショナル(管理士)
  • 施設運営・管理の質の向上
    法令順守、衛生管理、安全管理など、施設の適切な運営に必要な専門知識を体系的に習得できます。これにより、顧客の安全と信頼性の高いサービス提供につながります。
    【例】サウナ・スパ プロフェッショナル(管理士)、防火管理者
  • 顧客対応・接客の向上
    サウナの健康効果や正しい入浴法について根拠に基づいた説明ができるようになり、お客様からの質問に自信を持って答えられます。
    【例】サウナ・スパ 健康アドバイザー、熱波師検定
  • 事業立ち上げ・企画への活用
    新しいサウナ施設の企画、サービス開発、マーケティング活動において、専門的な視点から効果的な提案ができるようになります。
    【例】サウナ・スパ プロフェッショナル(管理士)

個人的な体験を深めるメリット

  • サウナ体験の質の向上
    サウナ浴が体に及ぼすメカニズム、正しい温度帯や入浴手順、水分補給の重要性などを理解することで、「ととのう」感覚をより深く、安全に追求できるようになります。
    【例】サウナ・スパ 健康アドバイザー
  • 健康増進への活用
    自身の健康状態や体調に合わせた安全なサウナの入り方、健康効果を最大限に引き出す方法を学び、日常生活に役立てることができます。
    【例】サウナ・スパ 健康アドバイザー、サウナ・スパ 健康士
  • コミュニティへの貢献
    友人や知人に対し、サウナの正しい知識やマナーを共有し、サウナ文化の健全な普及に貢献できます。
    【例】サウナ・スパ 健康アドバイザー
  • 特別な特典の利用
    資格の種類によっては、協会が提携するサウナ施設や関連グッズの割引など、特典を受けられる場合があります。
    【例】サウナ・スパ 健康アドバイザー

どんな資格がある?サウナ関連の資格

サウナに関する資格としては、主に以下のようなものがあります。

公益社団法人 日本サウナ・スパ協会が認定する資格

サウナ・スパに関する正しい知識の普及を目指しており、厚生労働省後援で信頼性の高い資格です。

  • サウナ・スパ 健康アドバイザー
    温浴施設の従業員やサウナ・スパの利用者が、健康増進に活用できる基本的な知識(サウナの歴史、健康効果、正しい入り方、応急手当など)を習得するための入門的な資格です。通信教育で受講・受験が完了します。この資格を持つと、協賛施設で割引などの特典が受けられる場合があります。
  • サウナ・スパ プロフェッショナル(管理士)
    「サウナ・スパ 健康アドバイザー」の上位資格で、サウナ・スパ施設の適切な管理を目的とした専門的な知識(施設の管理や安全管理など)を習得します。受験資格は「サウナ・スパ 健康アドバイザー」の資格保持者です。
  • サウナ・スパ 健康士
    この資格も「サウナ・スパ 健康アドバイザー」の上位資格で、体を温めた上でのボディケアに対する専門的な知識を習得します。サウナ・スパ プロフェッショナル同様、受験資格は「サウナ・スパ 健康アドバイザー」の資格保持者です。

その他の団体・協会の資格

  • 熱波師検定(例:日本サウナ熱波アウフグース協会主催)
    サウナ室内でタオルなどを使って熱風を送る「アウフグース」の技術や知識を習得するための資格です。BやAなどレベル分けされている場合があります。
  • サウナエキスパート(例:一般社団法人 日本能力教育促進協会(JAFA)運営)
    サウナの基礎知識から、入り方、マナー、活用方法など、サウナを暮らしの中へ取り入れる専門家を目指す資格です。

サウナ施設運営に資格は必要?

サウナ施設を運営する人に法的に必須の資格は、基本的にありません。しかし、サウナは公衆衛生や安全に関わる施設であるため、運営には法律に基づいた許認可(許可や届出)が必須となり、また、特定のサービスを提供する場合は資格を持つ人の設置が必要になります。

法律に基づき必須となる「許認可と管理者」

サウナ施設の開業・運営において最も重要で必須となるのは、資格そのものよりも公的機関からの許可と、関連法令に基づく管理者・責任者の設置です。

  • 消防法令適合通知書
    営業開始前に、消防設備などが基準に適合していることを証明する通知書を消防署から受け取る必要があります。
  • 公衆浴場営業許可
    サウナ施設は通常、公衆浴場法における「その他の公衆浴場」に分類され、施設を管轄する保健所から営業許可を得る必要があります。この許可を得るために、施設の構造設備などが公衆衛生の基準を満たしているか審査されます。

    【必須の手続き】営業許可の申請・保健所の立入検査
    【ポイント】許可の要件は自治体(都道府県や市町村)の条例によって異なるため、事前に保健所に相談することが非常に重要です。
  • 防火管理者(消防法・建築基準法に基づく管理者)
    一定規模以上の施設では、火災予防のための計画作成や管理を行う防火管理者を選任し、消防署に届け出る必要があります。これは講習を受けて取得する資格です。
  • 食品衛生責任者(飲食提供がある場合)
    サウナ施設内で、水風呂後の「オロポ」や軽食などの飲食物を提供する場合、食品衛生法に基づき、各店舗に食品衛生責任者を置くことが必須です。

    【資格取得方法】 調理師、栄養士などの資格を持っているか、自治体が指定する講習会を受講することで取得できます。

まとめ:資格取得で豊かなサウナライフを!

サウナに関する資格は、近年のブームを背景にその注目度を高めており、取得者数は増加の一途をたどっています。知識を体系的に学ぶことは、温浴施設への就職やキャリアアップといった実務面での大きなアピールポイントとなるだけでなく、サウナのメカニズムや正しい入浴法を理解することで、個人の「ととのう」体験をより深く、安全にするメリットがあります。運営者は法令遵守と安全管理のために、また利用者は質の高いサウナライフのために、この機会に専門知識の習得を検討してみてはいかがでしょうか。正しい知識は、サウナ文化を健全に楽しむための第一歩となるでしょう。

執筆者

注文住宅会社での20年以上の経験とサウナ好きがこうじて、サウナストーブを独自企画。実際にフィンランドやエストニアへの視察を行い本場のサウナ文化を感じた上で、フィンランド式のサウナストーブを製品化。ストーブの販売から設置、ブース施工までお任せください!

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