サウナで「かゆみ」や「赤いポツポツ」が出たら?サウナ蕁麻疹の原因と対処法

サウナは多くの人にとってリフレッシュできる癒しの場所ですが、中にはサウナに入ると体に赤いポツポツやかゆみが出る、という経験を持つ人もいます。これは「サウナ蕁麻疹」と呼ばれるもので、様々な種類と原因があります。
今回は、サウナで起こる蕁麻疹の種類とその原因、また予防策や対処法について詳しく解説します。蕁麻疹の正しい知識を身につけて、安全にサウナを楽しみましょう。
サウナで出る蕁麻疹の種類と要因

サウナに入ることで起こる蕁麻疹には様々な種類と要因があります。
コリン性蕁麻疹
「アセチルコリン」という神経伝達物質が関与して起こる蕁麻疹で、運動や入浴などで汗をかいたときに起こりやすいです。小さな赤い膨らみ(膨疹)やチクチクとしたかゆみを伴います。サウナ内は大量の汗をかくため、コリン性蕁麻疹が出やすい環境と言えます。
【コリン性蕁麻疹が出やすい人】
コリン性蕁麻疹はサウナで最も一般的なタイプの一つです。コリン性蕁麻疹が出やすい人の特徴は以下の通りです。
- 汗をあまりかかない生活習慣の人
普段から運動不足などで汗をかく機会が少ない人は、汗腺の働きが鈍くなっている可能性があります。そのため、サウナで急に大量の汗をかくと、アセチルコリンが過剰に反応し、蕁麻疹が出やすくなると考えられています。
- 若年層
コリン性蕁麻疹は比較的若い世代に多く見られます。特に10~30代の方に多い傾向にあります。
- 精神的なストレスを抱えている人
ストレスや自律神経の乱れは、汗の分泌をコントロールする自律神経の働きに影響を与え、蕁麻疹を引き起こすことがあります。
温熱性蕁麻疹
体温より温かいものに触れることで、体温が上昇し、それが刺激となって起こる蕁麻疹のことを言います。サウナの高温環境で体温が急上昇するため、蕁麻疹が出ることがあります。
【温熱性蕁麻疹が出やすい人】
温熱性蕁麻疹が出やすい人の特徴は以下の通りです。
- 温かい刺激に過敏な人
お風呂やシャワーなど、温かいものに触れると皮膚が赤くなったり、かゆみが出たりする人は、サウナの高温環境で症状が出やすい可能性があります。
- 体質的な要因
詳しいメカニズムはまだ解明されていませんが、温熱性蕁麻疹には遺伝するタイプのものも報告されています。
寒冷蕁麻疹

冷たいものに触れたり、急激な温度変化があったりすることで起こる蕁麻疹です。サウナの後の水風呂との温度差で症状が出ることがあります。重症の場合、アナフィラキシーショックに至るケースもあるため注意が必要です。
【寒冷蕁麻疹が出やすい人】
寒冷蕁麻疹はサウナ後の水風呂が引き金になることがあります。寒冷蕁麻疹が出やすい人の特徴は以下の通りです。
- 冷たいものに触れると蕁麻疹が出る人
普段から冷たい水や風に当たったときに、皮膚に赤みやかゆみ、腫れが出る人は、寒冷蕁麻疹の可能性があります。サウナ後の水風呂で急激に体を冷やすと、全身に症状が出たり、重症化するリスクもあります。
- 特定の病歴がある人
寒冷蕁麻疹は、何らかのアレルギー反応や免疫反応の異常が関わっていると考えられています。
接触蕁麻疹
タオルやサウナマット、洗剤などに含まれる化学物質が肌に触れることで起こる蕁麻疹です。高温で乾燥した肌は、普段よりも刺激に敏感になっているため、注意が必要です。
【接触蕁麻疹が出やすい人】
接触蕁麻疹は、特定の物質が皮膚に触れることで、その部分に蕁麻疹が起こるアレルギー反応の一種です。サウナで発生する可能性もありますが、特定の物質に触れたときにいつでも起こる可能性があります。
- 特定のアレルギーを持っている人
特定の物質に対するアレルギーを持つ人は、接触蕁麻疹を発症しやすいです。
- アトピー性皮膚炎や乾燥肌の人
アトピー性皮膚炎や乾燥肌の人は、肌のバリア機能が低下しているため、外部からの刺激に弱く、アレルゲンが皮膚の内部に入り込みやすくなっています。そのため、接触蕁麻疹が出やすい傾向があります。
- 日常生活で特定の物質に触れる機会が多い人
医療従事者や食品を扱う仕事の人、美容師など、仕事で特定の物質に触れる機会が多い人は、接触蕁麻疹を発症するリスクが高まります。また、普段使っている化粧品や洗剤、シャンプーなどに含まれる成分に弱い人も蕁麻疹が出やすくなります。
- 体調が優れない人
疲労、睡眠不足、ストレスなどが原因で、免疫力が低下したり自律神経が乱れたりすると、普段は問題にならないような物質にも過敏に反応し、蕁麻疹が出やすくなることがあります。
ストレスや自律神経の乱れ
サウナの環境変化がストレスとなり、自律神経のバランスが崩れて蕁麻疹が現れることもあります。
【ストレスや自律神経の乱れにより蕁麻疹が出やすい人】
- 精神的・肉体的なストレスを抱えている人
慢性的なストレスを感じている人は、常に交感神経が優位になりがちです。これにより自律神経のバランスが崩れ、蕁麻疹が出やすくなります。さらに、疲労の蓄積や睡眠不足により体の抵抗力や免疫力も低下し、蕁麻疹が出やすくなります。
また、強いイライラや不安感など、精神的に不安定な状態も自律神経の働きが乱れやすくなり、蕁麻疹を引き起こす要因となります。
- コリン性蕁麻疹の傾向がある人
ストレスや緊張による発汗も、アセチルコリンが過剰に分泌されるため、蕁麻疹を引き起こす要因となります。緊張したり、精神的なストレスを感じたりすると、手のひらや足の裏以外の部分に小さな赤い膨疹(膨らみ)やチクチクとしたかゆみが出やすい人は、コリン性蕁麻疹の可能性があります。
- アトピー性皮膚炎や喘息など、アレルギー疾患を持つ人
アレルギー疾患を持つ人は、ストレスが加わることで、免疫細胞のバランスが崩れ、蕁麻疹が出やすくなることがあります。
- 身体の緊張が強い人
自律神経のバランスが乱れている人は、身体全体が緊張して硬くなっていることが多いです。例えば、肩こりや倦怠感が慢性的にある人はストレスによって身体が常に緊張状態にあるため、血行が悪くなったり、だるさを感じたりすることがあります。このような状態は、蕁麻疹の症状を悪化させる一因となることがあります。
サウナで蕁麻疹を引き起こさない予防策

サウナで蕁麻疹が出やすい方は、以下の点に注意することで予防できる可能性があります。
- 低温高湿度のサウナを選ぶ
高温のドライサウナよりも、低温で湿度の高いミストサウナやスチームサウナを選ぶと、肌への負担が軽減されます。
- 無理のない入り方をする
短時間でサウナ利用を切り上げたり、水風呂ではなくぬるめのシャワーで徐々に体を冷ましたりするなど、急激な温度変化を避けるようにしましょう。
- 水分補給をこまめに行う
汗をかくことで脱水状態になると、肌のバリア機能が低下しやすくなります。
- 清潔なタオルや肌に優しいアイテムを使う
接触蕁麻疹を防ぐため、肌に触れるものに注意しましょう。
- 体調に合わせる
体調がすぐれないときは無理してサウナに入らないようにしましょう。
サウナで蕁麻疹が出た場合は、無理せず安静にして症状がおさまるのを待ち、かゆみがひどい場合は冷たいシャワーなどで冷やすと良いでしょう。頻繁に症状が出る場合や、症状が重い場合は、専門の医師に相談することをおすすめします。
サウナで蕁麻疹が出た場合の対処法
サウナで蕁麻疹が出た場合、慌てずに落ち着いて対処することが大切です。症状の重さによって対応は異なりますが、一般的な対処法は以下の通りです。
- サウナから出て体を冷やす
蕁麻疹が出始めたら、すぐにサウナ室を出て、体を冷やせる場所に移動しましょう。蕁麻疹は、体の熱や急激な温度変化が原因となることが多いため、患部を冷やすことが効果的です。冷たいシャワーを浴びたり、冷たいタオルで患部を冷やしたりしてください。水風呂は急激な温度変化で症状が悪化する場合があるので、ぬるめのシャワーから始めると良いでしょう。
- 安静にする
無理にサウナや温浴施設を利用し続けず、椅子に座るなどして安静にしてください。汗をかくことで脱水状態になると、症状が悪化することもあるため、水分補給もしっかり行いましょう。水分補給にはスポーツドリンクや水がおすすめです。
- かゆみを抑える
かゆみがあっても、掻いてしまうと症状が悪化したり、皮膚に傷がついたりすることがあります。我慢して掻かないようにしましょう。かゆみが強い場合は、市販の抗ヒスタミン薬の塗り薬や飲み薬を検討しても良いでしょう。ただし、蕁麻疹の原因によって適切な薬は異なるため、薬剤師に相談することをおすすめします。
- 症状が重い場合や頻繁に出る場合
症状がなかなか改善しない、全身に広がっている、呼吸が苦しい、気分が悪いなどの重篤な症状が出た場合は、すぐに医療機関(皮膚科)を受診してください。
また、頻繁にサウナで蕁麻疹が出る場合は、どのタイプの蕁麻疹なのか、アレルギーの有無などを調べるために、皮膚科を受診して医師の診断を受けることが大切です。
まとめ:蕁麻疹についてきちんと理解し、安全にサウナを利用しよう!

サウナで発生する蕁麻疹には、コリン性蕁麻疹や温熱性蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、接触蕁麻疹など、様々な種類があります。そして、サウナで大量の汗をかいたり、体温の急激な変化が起きたりと要因も様々です。また、蕁麻疹はアレルギー体質の方や乾燥肌の方、日頃からストレスを抱えている方など、特定の要因を持つ人に出やすい傾向があります。
蕁麻疹の正しい知識を身につけて、無理なくサウナを楽しみましょう。蕁麻疹がひどい場合や繰り返し発症する場合は、すぐに専門の医師に相談するようにしましょう。