サウナで町おこし!地方創生を成功に導くサウナツーリズム

近年、地方が抱える課題は深刻さを増しています。人口減少や若者の都市部への流出は止まらず、地域経済は縮小の一途をたどっています。こうした状況を打開するため、様々な「地方創生」の取り組みが試みられています。
そんな中、この課題解決の鍵を握る意外なツールとして、今「サウナ」が注目を集めているのをご存知でしょうか。
今回は、なぜサウナが地方創生に適しているのか、その理由をひも解き、実際に成功している事例とともに、サウナがもたらす新たな可能性について解説します。

目次

地方創生が必要な理由

日本が現在抱える地方の問題には、以下のような要因があります。

  • 人口減少と東京一極集中の是正
    若者が仕事や教育を求めて都市部に流出することで、地方の過疎化が進み、高齢化率が上昇。このままでは、地方の経済活動が停滞し、地域コミュニティが維持できなくなる可能性があります。
  • 経済基盤の脆弱化
    人口減少や若者の流出は、地方の働き手を減らし、地域経済の活力を奪います。これにより、商店街のシャッター通り化や企業の撤退が進み、雇用機会が減少するという悪循環に陥ります。
  • 公共サービスの維持困難
    人口が減ると、税収も減ります。これにより、医療、福祉、交通、教育といった住民に不可欠な公共サービスの維持が困難になります。例えば、バス路線が廃止されたり、病院が閉鎖されたりすることで、住民の生活の質が低下し、さらに人口流出が進むリスクがあります。
  • 地域の魅力と資源の有効活用
    地方には、都市部にはない豊かな自然、歴史、文化、特産品といった貴重な資源が眠っています。しかし、これらの資源が十分に活用されていない現状があります。地方を活性化させることは、これらの資源に新たな価値を見出し、地域住民の誇りや愛着を育むことにもつながります。

地方創生に秘められたビジネスチャンス

地方創生には大きなビジネスチャンスが秘められています。例えば、以下のようなビジネスが挙げられます。

  • 地域の未活用資源に新たな価値を生み出す
    地方には、都市部では失われつつある貴重な資源が豊富にあります。
    例えば、古民家や空き家は宿泊施設やカフェ、コワーキングスペースなどにリノベーションすることで、新しい交流拠点や観光資源として生まれ変わります。
    また、都市部にはない豊かな自然はアウトドアアクティビティやグランピング、自然を活かしたリラクゼーションなど、様々なレジャー事業のチャンスがあります。
  • 都市と地方をつなぐ役割を担う
    リモートワークの普及により、人々の働き方や暮らし方が多様化しています。これに伴い、都市部に住む人々を地方に呼び込むビジネスが生まれています。具体的には、自然の中で働きながら休暇を過ごしたい層をターゲットにした、宿泊機能を備えたコワーキングスペースなどが人気です。また、都市部の家族が地方を訪れ、農業や収穫体験をすることで、食育と観光の両方を楽しめる交流型農業体験などのサービスなども人気です。

サウナが地方創生におすすめな理由

今必要とされている地方活性化ですが、サウナは地方創生にはとても適しています。これには以下のポイントがあります。

  • 地域の自然を最大の武器にできる
    都市部のサウナ施設とは異なり、地方には豊かな自然環境があります。川や湖、海を水風呂の代わりにしたり、森林に囲まれた空間で外気浴をしたりといった体験は、都会では味わえない非日常的な魅力となります。こうした自然のポテンシャルを最大限に活かしたサウナは、高い集客力を持ちます。
  • 地域の資源と結びつけやすい
    サウナは、特定の産業だけでなく、様々な地域の資源と連携させやすい点が強みです。
    例えば、地元の間伐材や木材をサウナ小屋の建築や燃料として利用することで、林業の活性化や環境保全にも貢献できます。また、サウナ後の食事「サ飯(サウナ飯)」として、地元の食材を使った料理を提供すれば、地域の食文化をアピールできます。
    古民家や歴史的建造物を改修してサウナ施設にしたり、地域の工芸品をサウナグッズとして販売したりすることも可能です。
  • 関係人口・交流人口を創出する
    サウナは愛好家同士のコミュニティが活発で、SNSでの情報発信が盛んです。これにより、サウナ施設をきっかけに地域に興味を持つ「関係人口」や、頻繁に訪れる「交流人口」が増加し、地域のファンを増やすことにつながります。

サウナを地方創生に活用する際は「その地域でしか味わえない唯一無二の体験」をどのように提供するかを考えることが成功の鍵となります。地域独自のストーリーや資源と組み合わせることで、持続的な経済効果や地域活性化に繋がる可能性が高まります。

サウナがもたらす経済効果と波及効果

サウナによる地域活性化はさらに以下のような発展が期待できます。

  • 新しい雇用の創出
    サウナ施設の運営だけでなく、飲食業や物販、イベントなど、サウナに関連する様々な仕事が生まれるため、地域住民の雇用機会の創出につながります。
  • 地域の魅力の再発見と情報発信
    サウナ施設をきっかけに、その地域の特産品や文化に注目が集まることがあります。例えば、地元の木材を使ったサウナ小屋や、地域の食材を使ったサウナ飯、地元の工芸品で作られたサウナグッズなど、地域固有の資源を活用することで、その土地ならではの魅力を再発見し、広く発信することができます。

サウナを活用した地方創生 成功事例

サウナを地方創生に活用した地域の成功事例をご紹介します。

大分県豊後大野市

「おんせん県」と呼ばれるほど温泉が豊富な大分県ですが、豊後大野市は有名な温泉地に囲まれているにも関わらず温泉の湧出が少ない地域。これを逆手に取り、「サウナのまち」を宣言し、地元の豊かな自然を活かしたユニークなアウトドアサウナを展開しています。
鍾乳洞でサウナと水風呂が楽しめる施設や、豊後大野市の名物・しいたけの原木を採取する際に出る廃材を薪として再利用しているサウナなど、個性豊かなサウナの数々が楽しめる観光地として、観光客誘致に成功しています。

山形県西川町

山形県西川町も、サウナを地域創生の一つの柱として積極的に活用し、注目を集めています。例えば、地元の西山杉を使った移動式の「トレーラーサウナ」を導入し、月山湖畔や雪原など、季節ごとに変わる最高のロケーションでサウナ体験を提供しています。
また、道の駅に隣接する「水沢温泉館」ではサウナをリニューアルし、セルフロウリュや月山の雪解け水を使った水風呂を導入。プロの熱波師を招くイベントなども開催し、サウナファンを呼び込んでいます。

まとめ:サウナが変える地方の未来

サウナは単なるレジャー施設ではありません。地域の自然や文化、歴史といった未活用の資源を結びつけ、新たな価値を生み出すための強力なツールとなり得ます。
地方が抱える人口減少や経済縮小といった課題に対し、サウナという切り口で地域固有の魅力を引き出し、関係人口や交流人口を増やすことで、持続可能な地域社会を築くことが可能になります。
豊後大野市や西川町の事例が示すように、サウナを単なるブームで終わらせず、その地域ならではのストーリーとして深く根付かせることで、地方創生は大きな成功を収めることができるでしょう。

執筆者

注文住宅会社での20年以上の経験とサウナ好きがこうじて、サウナストーブを独自企画。実際にフィンランドやエストニアへの視察を行い本場のサウナ文化を感じた上で、フィンランド式のサウナストーブを製品化。ストーブの販売から設置、ブース施工までお任せください!

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