【工務店様必見!】サウナストーブ設置で押さえるべき重要ポイント

今、自宅や貸別荘などに設営可能なコンパクトタイプのサウナが登場しており、それに合わせて様々なメーカーがサウナストーブを開発・販売しています。
特に、安全性や利便性などで人気なのが電気式サウナストーブで、家庭用サウナにおいて主流となっています。
ブロスサウナのように、サウナストーブの設置工事は実施していないサウナストーブメーカーも多数あります。そのため、サウナストーブの設置については、工務店様やリフォーム会社様に依頼されるお客様も多いと思います。
そこで、今回は、サウナの設置を依頼された工務店様向けに、サウナストーブ設置に関する注意点などをまとめました。ぜひ、設置工事の際の参考にしていただけますと幸いです。
工務店様が最初に確認すべきポイントとは
工務店様がもしサウナストーブ設置の依頼を受けられた際に、注意すべきポイントは以下の4項目になります。
- 安全性に関する事項
- 設置に関する事項
- 法規則・基準の遵守
- メーカー情報の活用
詳しく解説します。
安全性に関する事項
安全にサウナストーブを設置するにはまず、サウナストーブの安全性について確認しておく必要があります。
電気配線工事の徹底

まず、サウナストーブ設置に伴う電気工事は、電気工事士の有資格者による施工が義務付けられています。無資格者による工事は、感電や火災等の重大事故に直結するだけでなく、法的な罰則の対象となるのでご注意ください。
適切な電圧と専用回路の確保については以下について確認しておきましょう。
- 電圧の確認
導入するサウナストーブの仕様に応じ、単相200Vまたは三相電源の確認が不可欠です。一般家庭では単相100Vが主流のため、分電盤での200V昇圧工事や、電力会社への三相電源引き込み申請が必要となる場合があります。 - 専用回路の設置
高出力機器であるサウナストーブには、必ず専用のブレーカーを分電盤内に増設し、そこから直接配線を引いてください。他の家電製品と回路を共有すると、過負荷によるブレーカー遮断や火災のリスクが高まります。 - 契約アンペア数の確認
サウナストーブの最大消費電力に見合う適切な契約アンペア数を確保し、必要に応じて電力会社への契約変更を検討してください。
この他にも、配線の種類や経路、漏電対策の徹底、火災予防措置の徹底も重要です。
配線の種類・経路・保護

- 耐熱・耐湿性ケーブルの使用
サウナ室内は高温多湿となるため、通常のケーブルは早期に劣化し、事故の原因となります。高温・高湿度に耐え得る専用の電気配線(耐熱ケーブル等)を必ず使用してください。 - 配線の位置
メーカーの施工指示書に従い、熱源や水場から十分な距離を保ち、例えばサウナ室の天井付近など、安全かつ適切な位置に配線を敷設してください。 - 保護措置
露出する配線は、ケーブルモール等で確実に保護し、物理的な損傷を防ぐ措置を講じてください。屋外設置の場合は、紫外線や雨風に対するより強固な保護が必要です。
漏電対策の徹底
- 漏電遮断器の設置
万が一の漏電事故に備え、サウナストーブ専用の漏電遮断器(漏電ブレーカー)を必ず設置してください。これにより、漏電発生時に自動的に電気を遮断し、感電や火災を防ぎます。 - アース(接地)の施工
サウナストーブ本体および室内の照明器具等、全ての電気設備には、確実なアース(接地)工事を行ってください。
火災予防措置の徹底

- メーカー指定の離隔距離の厳守
各サウナストーブメーカーが定める、壁・天井・床等の可燃物からの最低離隔距離を厳守してください。これは火災予防の基本であり、取扱説明書に記載された寸法を正確に適用することが必須です。サウナストーブの周囲には、必要に応じて、不燃材料製の防護柵(安全囲い)を設置し、可燃物(タオル、ヴィヒタ等)が誤ってストーブに接触するのを防ぐことが推奨されます。
- 壁・天井・床の不燃材料化
サウナストーブが設置される周囲の壁・天井・床は、不燃材料(タイル、レンガ、石材、不燃ボード等)で仕上げてください。木材等の可燃性材料は、長期間の熱蓄積により低温着火するリスクがあります。不燃材の使用範囲については、建築基準法、消防法、および各自治体の火災予防条例を確認し、規定を遵守してください。必要に応じて、ストーブ周辺の壁や天井に防熱板を設置することで、熱の影響をさらに軽減できます。 - 適切な換気設備の設置と連動
サウナ室内には、新鮮な空気の供給と排気を適切に行うための換気扇を設置してください。電気ストーブの場合、ファン停止時に熱源の電源を自動遮断する装置が必要な場合もあります。また、給気口と排気口の配置も重要です。効果的な空気の
流れを確保するため、給気口と排気口の配置を検討し、メーカーの推奨する設置方法に従ってください。
排気ダクトには、火災発生時に火炎や煙の延焼を防ぐ防火ダンパー付きのものを設置しましょう。 - 異常加熱防止機能の確認と設置
電気式サウナストーブには、異常な温度上昇時に自動的に電源を遮断する「過昇温防止装置」(温度ヒューズ、自動停止装置)が組み込まれているか確認し、その機能が正常に作動することを確実に確認してください。 - 温度調節器の位置
温度調節器や温度過昇防止器は、サウナ室の床から天井までの高さの概ね2/3以上の位置に取り付けることが推奨されています。 - ファン停止時の電源遮断
ファンを用いるタイプの電気サウナストーブの場合、ファンが停止した際に熱源の電源を自動的に遮断する安全装置が設けられているかを確認してください。
設置に関する事項
設置に関しても、サウナという特性上、防水・排水に気を付けたり、堅固に固定させたり、注意すべき点がいくつかあります。
- 防水・排水処理
サウナ室は高湿環境であり、ロウリュを行う場合は水を使用するため、床面および壁面下部の防水処理と、適切な排水経路(勾配、排水口)の確保が不可欠です。漏水による躯体の劣化やカビの発生を未然に防ぎます。 - 床の補強と水平の確保
サウナストーブ本体およびサウナ室全体の総重量を考慮し、設置箇所の床の耐荷重性能を十分に確認し、必要に応じて床下補強工事を行ってください。特にユニット型サウナは重量があるため注意が必要です。
また、サウナストーブは必ず水平に設置してください。傾きは、機能不全や安全性低下の原因となります。 - サウナストーブの具体的な据付
ストーブ本体は、転倒防止のため、メーカーの取扱説明書に記載された手順に従い、壁や床に堅固に固定してください。
法規制・基準の遵守

サウナ設置には様々な法規制や基準の確認も欠かせません。設置する前にはぜひご確認ください。
- 建築基準法・消防法への適合
サウナ室の設置においては、建築基準法上の「建築物」としての取り扱い(特に床面積10㎡を超える場合や、防火・準防火地域、法22条区域等での設置の場合)を確認し、必要であれば建築確認申請を行ってください。
消防法においては、サウナ設備は「火気設備」に準ずるものとして扱われ、離隔距離、不燃材料の使用範囲、自動停止装置の設置義務など、詳細な基準が定められています。所轄の消防署への事前確認と届出は必須です。商業施設や一定規模以上のサウナ室では、「二方向避難」の確保が義務付けられる場合があります(2022年の消防法改正で緩和条件も設定されています)。 - 各自治体の条例
地域によっては、上記に加え独自の火災予防条例や建築に関する規定が存在する場合があります。必ず事前に所轄の自治体に確認し、全ての関連法規を遵守してください。
メーカー情報の活用

サウナストーブは各メーカーごとに取り付け方や保証内容が異なります。必ず事前にメーカー情報も確認するようにしましょう。
- 製品仕様の事前確認
ストーブのサイズ、重量、消費電力、必要電源(電圧、アンペア数)など、基本的な製品仕様を事前に詳細に確認してください。 - 設置マニュアルの熟読
メーカー提供の設置マニュアルは、安全かつ確実な施工のための最も重要な情報源です。詳細な設置手順、配線図、注意事項等を事前に熟読し、理解を深めてください。 - 保証規定とアフターサービス
製品の保証期間、保証内容、およびメーカーのアフターサービス体制(問い合わせ窓口、修理体制など)を確認し、お客様への説明や万が一のトラブル時の対応に備えてください。
それぞれの段階で注意しておきたいポイント
その他にも、以下のような押さえておきたいポイントがあります。
- 設計段階
サウナ室全体の設計段階から、サウナストーブメーカーと工務店様が密に連携することで、電気容量や換気計画、不燃材の配置など、安全かつ効率的なサウナ空間づくりが実現しやすくなります。 - 設置完了後
お客様に対し、サウナストーブの安全な使用方法、日常のメンテナンス方法、異常時の対応などについて、書面(取扱説明書の抜粋や注意喚起文書等)を用いて丁寧に説明を行ってください。 - 最新情報の継続的な収集
サウナストーブの技術や安全基準は常に進化しています。特に、サウナ設置に関連する 法規改正については最新情報を継続的に収集し、安全施工に反映させてください。
まとめ

サウナブームにより、今後も自宅や貸別荘などへのコンパクトタイプのサウナ設置が増えてくるかもしれません。ぜひ、今回ご紹介した情報をご理解いただき、お客様に安心して長くご利用いただけるサウナを提供できるよう、貴社の施工品質向上の一助となれば幸いです。
ブロスサウナ製品に関しましては、ご不明な点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!