サウナの熱風はなぜ気持ちいい?種類・温度設定・体感温度の違いを解説

目次

1. はじめに:サウナの熱風はなぜ気持ちいい?

サウナといえば、高温の室内で大量の汗をかくイメージがありますよね。 サウナ室に一歩足を踏み入れると、熱気が身体を包み込み、じわじわと汗が吹き出してきます。 そして、サウナ室から出た後は、水風呂の冷たさで身も心もリフレッシュ。 多くの人がサウナに魅了される理由は、この「熱風」と「冷水」のコントラストが生み出す爽快感が魅力だからでしょう。

では、なぜサウナの熱風はこんなにも気持ちいいと感じるのでしょうか?

その秘密は、熱風によって引き起こされる体の反応と、それによって得られる様々な効果にあります。 本稿では、サウナの熱風の種類や温度設定、体感温度の違い、そして熱風によって感じる気持ちよさの秘密について、生理学的・心理学的な観点から詳しく解説していきます。

2. サウナの熱風の種類

2.1 ロウリュとは?

サウナの本場・フィンランドで生まれたサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させる行為のことです。「ロウリュ」はフィンランド語で「蒸気」を意味する言葉です。サウナストーンにアロマ水などをかけて蒸気を発生させることで、室内に熱波が生まれます。

語源意味
ロウリュ(löyly)蒸気

この熱波によって体感温度が上昇し、発汗作用が促進されます。また、アロマの香りによるリラックス効果も期待できます。ロウリュはサウナ室の温度や湿度を調整するだけでなく、サウナ体験をより豊かにする効果も持っています。

2.1.1 ロウリュの定義・語源

ロウリュとは、フィンランド発祥のサウナにおける入浴法の一つです。サウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させることで、サウナ室内の湿度を急上昇させます。高温の蒸気によって体感温度が上がり、発汗作用が促進されるのが特徴です。

語源意味
ロウリュ (löyly)蒸気、熱気

「ロウリュ」という言葉は、フィンランド語で「蒸気」や「熱気」を意味します。 サウナ発祥の地であるフィンランドでは、サウナは生活に欠かせない文化として根付いており、ロウリュもサウナを楽しむ上で重要な要素となっています。

ロウリュを行うことで、サウナ室内の温度や湿度が変化し、より発汗を促す効果が期待できます。 単に熱いサウナ室に入るだけでなく、ロウリュを取り入れることで、より深いサウナ体験ができます。

2.1.2 ロウリュの効果・効能

ロウリュには、サウナ室内の温度と湿度が上昇することによって、様々な効果・効能が期待できます。

効果・効能説明
発汗作用の促進高温の蒸気が肌に密着することで、短時間で大量の汗をかくことができます。
血行促進効果熱によって血管が拡張し、血行が促進されます。
代謝アップ血行促進により、体の代謝が活発になります。
リラックス効果サウナストーンにかける水にアロマを混ぜることで、リラックス効果も期待できます。
美肌効果発汗によって毛穴の汚れが排出されやすくなり、美肌効果も期待できます。

ただし、これらの効果・効能には個人差があります。 体調に合わせて無理のない範囲でロウリュを楽しむようにしましょう。

2.1.3 ロウリュの体感温度への影響

ロウリュによって体感温度は大きく変化します。

サウナ室内の実際の温度が低い場合でも、ロウリュによって体感温度は高くなります。

なぜなら、ロウリュによって発生した蒸気が肌に接することで熱伝導率が上がり、より多くの熱を身体が感じるからです。

要因体感温度への影響
サウナ室内の温度高いほど体感温度も高い
湿度高いほど体感温度も高い
ロウリュの頻度多いほど体感温度も高い
風の強さ強いほど体感温度も高い
個人の体質や体調人によって感じ方が異なる

上記のように、ロウリュの体感温度は様々な要素が影響します。

ロウリュを受ける際は、ご自身の体調やその日のサウナ室の環境に合わせて、無理のない範囲で楽しむようにしましょう。

2.1.4 ロウリュの種類(オートロウリュ、セルフロウリュなど)

ロウリュには、大きく分けて「オートロウリュ」と「セルフロウリュ」の2種類があります。

種類説明
オートロウリュサウナ室内に設置された装置によって、自動的に水蒸気が発生するシステムです。
セルフロウリュ利用者自身が、サウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させるロウリュです。

オートロウリュは、設定された時間や条件に従って自動的にロウリュが行われるため、手軽に水蒸気による発汗作用を促すことができます。一方、セルフロウリュは、自分のペースで水をかける量やタイミングを調整できるため、より自由度の高いロウリュ体験が楽しめます。

どちらのロウリュにもそれぞれのメリットがあり、サウナ施設によって導入されているシステムも異なります。事前に確認しておくと、より快適なサウナ体験につながるでしょう。

2.2 アウフグースとは?

アウフグースとは、サウナの本場であるドイツ発祥の入浴法です。熱したサウナストーンにアロマウォーターなどをかけて水蒸気を発生させ、大きなうちわなどを使って熱波を送ることで体感温度を上昇させます。

用語説明
アウフグース(Aufguss)ドイツ語で「注ぐ」という意味

サウナ室の温度を高く保つだけでなく、アロマの香りや風による体感の変化も楽しむことができます。近年日本でも導入するサウナ施設が増えており、人気が高まっています。

2.2.1 アウフグースの定義・語源

アウフグースとは、サウナストーンにアロマウォーターなどをかけて水蒸気を発生させ、その蒸気をタオルなどを使って大きく仰ぐことで体感温度を上昇させる行為のことです。ドイツ発祥のサウナ文化で、「アウフ(Auf)」は「上へ」、「グース(Guss)」は「注ぐ」という意味を持ちます。

語句意味
アウフ(Auf)上へ
グース(Guss)注ぐ

サウナ室内の温度を上昇させるだけでなく、アロマの香りによってリラックス効果を高めたり、熱波師と呼ばれる担当者によるパフォーマンスによって視覚的にも楽しめたりするなど、五感を刺激する要素が詰まっているのも特徴です。

2.2.2 アウフグースの効果・効能

アウフグースには、熱したサウナストーンに水やアロマ水をかけ、発生した蒸気をタオルなどであおぐことで、様々な効果・効能が期待できます。 大きく分けると、身体的効果と精神的効果の二つに分類できます。

効果・効能内容
発汗作用の促進熱波を浴びることで、通常のサウナ浴よりも発汗が促され、体内の老廃物の排出を促します。
血行促進効果熱風によって血管が拡張し、血行が促進されます。これにより、筋肉や関節の疲労回復効果も期待できます。
リラックス効果熱波とアロマの香りは、心身のリラックスをもたらし精神的なストレスを軽減する効果があります。
免疫力向上サウナ浴による体温上昇は、免疫細胞を活性化し、免疫力向上に繋がると言われています。

アウフグースは、これらの効果効能を期待して、多くの人がサウナ室で体験しています。

2.2.3 アウフグースの体感温度への影響

アウフグースは、ロウリュよりも体感温度が高く感じられます。これは、熱せられたサウナストーンにアロマ水をかけ、発生した蒸気をタオルなどであおぐことで、体感温度に影響を与える以下の要素が加わるためです。

要素説明
熱風対流によって熱が効率的に肌に運ばれるため、体感温度が上昇します。
湿度蒸気によって湿度が上昇し、肌からの汗の蒸発が抑制されるため、より暑く感じます。
アロマの香りアロマの香りによってリラックス効果やリフレッシュ効果が期待できます。

これらの要素が複合的に作用することで、ロウリュよりも体感温度が高くなり、発汗作用や血行促進効果が期待できます。

2.2.4 アウフグースの種類・スタイル

アウフグースには、熱波師の個性や工夫によって様々な種類・スタイルが存在します。大きく分けると、タオルを使って風を送るスタンダードなものから、アロマの香りを組み合わせたもの、音楽と融合させたパフォーマンス性の高いものまで、多岐にわたります。

種類・スタイル説明
スタンダードアウフグースタオルを大きく回したり、仰いだりして熱波を送る、基本的なスタイルです。
アロマアウフグースアロマ水をサウナストーンにかけて蒸気を発生させ、アロマの香りと熱波を楽しむスタイルです。リラックス効果やリフレッシュ効果などが期待できます。
パフォーマンスアウフグース音楽に合わせてタオルを回したり、ダンスを取り入れたりと、エンターテイメント性の高いスタイルです。視覚からも楽しむことができます。

これらの他にも、ロウリュと組み合わせて行うものや、複数の熱波師が同時にパフォーマンスを行うものなど、施設やイベントによって様々なバリエーションがあります。自分好みのアウフグースを見つけてみるのも良いでしょう。

2.3 ロウリュとアウフグースの違い

ロウリュとアウフグースは、どちらもサウナ室の熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させることで、体感温度を上昇させるものです。しかし、その目的や方法には違いがあります。

項目ロウリュアウフグース
目的サウナ室の温度と湿度を上げる熱波により体感温度を上げ、発汗を促す
方法サウナストーンに水をかけ、水蒸気を発生させるタオルなどを使い、熱波を送る
その他セルフサービスで行う場合が多いスタッフがパフォーマンスをしながら行う場合が多い

ロウリュは、サウナストーンに水をかけることで、サウナ室全体を温めることを目的としています。一方、アウフグースは、タオルなどを用いて熱波を送ることで、体感温度を上昇させ、発汗を促すことを目的としています。

このように、ロウリュとアウフグースは目的や方法が異なるため、サウナ体験も大きく変わります。どちらが良いかは、個人の好みによるところが大きいでしょう。

3. サウナ室の温度設定

3.1 温度設定の違いによる体感の違い

サウナ室の温度は施設や種類によって大きく異なります。一般的に、温度が高いほど体感温度も高くなりますが、湿度や風の流れによっても感じ方は大きく変わる点が特徴です。

温度帯体感説明
60~70℃ぬるく感じる比較的低温で、長時間入浴しやすい温度帯です。
80~90℃熱く感じる一般的なサウナの温度帯です。
100℃以上かなり熱く感じる高温サウナと呼ばれる温度帯です。短時間でも十分な発汗効果が期待できます。

サウナ初心者の方は、まずは60~70℃程度の低温サウナから始め、徐々に温度の高いサウナに挑戦していくのがおすすめです。

温度が高いサウナの方が発汗作用や血行促進効果が高いと思われがちですが、無理をしてしまうと体調を崩してしまう可能性もあります。自分の体調や好みに合わせて、無理なく気持ちの良いと感じる温度設定のサウナを選びましょう。

3.2 湿度との関係性

サウナ室内の体感温度は、温度設定だけでなく湿度も大きく影響します。同じ温度設定でも、湿度が異なるだけで体感温度は大きく変わります。

湿度体感説明
熱く感じる汗が蒸発しやすく、体の熱が奪われにくい
暑く感じる汗が蒸発しにくく、体の熱がこもりやすい

湿度が低いと、汗が蒸発しやすくなるため、体の熱が奪われにくく、比較的乾燥した熱さを感じます。一方、湿度が高いと、汗が蒸発しにくく、体の熱がこもりやすいため、湿った蒸し暑さを感じます。

例えば、同じ90℃のサウナでも、湿度が低いドライサウナではカラッとした熱さを感じますが、湿度が高いミストサウナでは、息苦しさを感じるほどの蒸し暑さを感じます。

このように、サウナ室内の湿度は体感温度に大きな影響を与えるため、サウナを選ぶ際には、温度設定だけでなく湿度にも注目することが大切です。

3.3 タイプ別の温度設定の目安(ドライサウナ、ミストサウナなど)

サウナには、大きく分けて「ドライサウナ」と「ミストサウナ」の2種類があり、それぞれ温度設定の目安が異なります。

タイプ温度(目安)湿度(目安)特徴
ドライサウナ80〜100℃10〜20%高温・低湿度のサウナ
ミストサウナ40〜50℃ほぼ100%低温・高湿度のサウナ

ドライサウナは、高温で乾燥した環境が特徴です。発汗作用が非常に高く、短時間で大量の汗をかくことができます。一方、ミストサウナは、比較的低温ですが湿度が高いため、息苦しさを感じにくく、長時間サウナを楽しむことができます。

このように、サウナの種類によって温度設定が異なるため、サウナを選ぶ際には、それぞれのサウナの特徴を理解しておくことが大切です。

4. 熱風を気持ちよく感じる理由

4.1 生理学的なメカニズム(発汗作用、血行促進効果など)

サウナの熱風を浴びると、私たちの体は生理学的に以下のような反応を示します。

反応内容
発汗作用サウナ室の高温環境下では、体温の上昇を抑えようと大量の汗をかきます。
血行促進効果熱により血管が拡張することで血流が促進され、酸素や栄養素が全身に行き渡りやすくなります。

これらの反応により、老廃物の排出や新陳代謝の促進など、様々な健康効果が期待できます。

4.2 心理的な効果(リラックス効果、リフレッシュ効果など)

サウナの熱気は、私たちの心にも心地よい影響を与えます。高温環境での発汗によって、心身のリラックスをもたらす効果が期待できます。日常のストレスや緊張から解放され、穏やかな気持ちになれるでしょう。

効果説明
リラックス効果サウナの熱気は、緊張を解きほぐし、心身をリラックスさせてくれます。
ストレス軽減効果発汗により、ストレスホルモンが排出され、気分転換やストレス軽減効果が期待できます。
リフレッシュ効果サウナ後の爽快感は、心身をリフレッシュさせ、活力を取り戻す効果があります。
気分転換日常の喧騒から離れ、サウナの静寂の中で自分と向き合うことで、気分転換になります。

サウナは心身を休ませ、気分転換をしたい時に最適な場所と言えるでしょう。

5. サウナの熱風を楽しむためのポイント

5.1 水分補給の重要性

サウナに入ると大量の汗をかき、体内の水分が失われます。水分が不足すると、血液の濃度が高くなり、血栓ができやすくなるなど、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。最悪の場合、熱中症や脱水症状を引き起こす危険性もあるため、こまめな水分補給はサウナを楽しむ上で非常に重要です。

水分不足のサイン説明
のどの渇き体が水分不足を感じているサインです。のどが渇く前に水分補給を心がけましょう。
尿量の減少・濃色汗として水分が排出されているため、尿量が減り、色が濃くなります。
めまい立ちくらみやふらつきを感じたら、水分不足のサインです。
頭痛脱水症状が進むと、頭痛が起こることがあります。

サウナに入る前、入った後だけでなく、サウナ室に入る前にもコップ1杯程度の水分を摂るようにしましょう。また、サウナ室から出た後も、失われた水分を補うために、スポーツドリンクや経口補水液などで、水分と electrolytesを適切に補給することが大切です。

5.2 体調に合わせた入浴方法

サウナは心身に好影響をもたらす一方で、体調が悪いときや無理をすると体調不良を引き起こす可能性もあります。安全かつ快適にサウナを楽しむためには、自身の体調に合わせた入浴方法を実践することが大切です。

体調入浴方法の目安
良好無理せず、自分のペースで楽しむ
疲労時サウナ室での滞在時間を短めにする、低温サウナを選ぶ
飲酒後脱水症状や血圧の急激な変動のリスクがあるため、入浴は控える
高血圧医師に相談の上、入浴する
低血圧めまいなどに注意し、立ち上がる際はゆっくりと
妊娠中医師に相談の上、入浴する

上記はあくまで一例です。持病がある方や体調が優れない方は、必ず医師に相談の上、サウナを利用するようにしましょう。自分の体と対話しながら、無理なくサウナを楽しんでください。

5.3 マナーを守る

サウナ室は多くの人と共有する空間です。快適にサウナを楽しむためには、最低限のマナーを守ることが大切です。

行動説明
サウナ室では静かにする大きな声で話したり、騒いだりするのは控えましょう。
汗をまき散らさない汗が飛び散らないよう、タオルで拭いたり、床にタオルを敷きましょう。
席の確保は必要最低限にタオルや私物を置いての席取りは控えましょう。
洗い残しがない状態で入室する体を洗い流し、汗を流してからサウナ室に入りましょう。
香水や化粧は控える香りの強い香水や化粧は、他の利用者の迷惑になる可能性がありますので控えましょう。
写真撮影は控えるサウナ室内の写真撮影は、プライバシーの観点から控えましょう。

これらのマナーを守り、周りの人に配慮しながらサウナを利用しましょう。

6. まとめ:サウナの熱風で最高のサウナ体験を!

サウナの熱風は、私たちの体と心に様々な効果をもたらします。種類や温度、湿度によってその感じ方は大きく異なり、自分にとって最適なサウナ環境を見つけることが、最高のサウナ体験へと繋がります。

サウナを楽しむためには、以下の3点を意識しましょう。

ポイント内容
水分補給をしっかりと行う発汗による脱水症状を防ぎ、体調不良を予防します。
体調に合わせた入浴方法をとる無理せず、自分のペースでサウナを楽しみましょう。
サウナのマナーを守る周りの人に配慮し、快適なサウナ空間を共有しましょう。

適切な知識と心がけがあれば、サウナの熱風はより一層気持ちの良いものとなるでしょう。ぜひ、今回の内容を参考に、ご自身のサウナ体験をより豊かなものにしてください。

執筆者

注文住宅会社での20年以上の経験とサウナ好きがこうじて、サウナストーブを独自企画。実際にフィンランドやエストニアへの視察を行い本場のサウナ文化を感じた上で、フィンランド式のサウナストーブを製品化。ストーブの販売から設置、ブース施工までお任せください!

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