もう古い集客方法は卒業!今ドキ旅行者に響く旅館マーケティング戦略

目次

1. はじめに:旅館業界の集客の現状と課題

旅館業界を取り巻く環境は大きく変化しています。少子高齢化やライフスタイルの多様化に伴い、国内旅行の需要は伸び悩んでいるのが現状です。

要因詳細
旅行者のニーズの多様化・体験型旅行やテーマパーク旅行の増加
・個人旅行の増加と団体旅行の減少
競争の激化・ホテル業界との競争
・Airbnbなどの民泊サービスの台頭
情報過多・インターネット上には旅行情報が溢れており、消費者は情報収集に時間を要する
・旅館の独自性を効果的にアピールする必要がある

加えて、従来型の集客方法では、これらの変化に対応しきれなくなってきています。そこで、本記事では、旅館業界の現状と課題を踏まえ、これからの時代に求められる効果的なマーケティング戦略について解説していきます。

2. 時代遅れの集客方法とは?

かつては旅館の集客に効果的だった手法も、時代の変化とともに効果が薄れているものがあります。

例えば、以下のような集客方法は、現代の旅行者のニーズに合致していると言えるでしょうか?

集客方法内容
紙媒体の旅行雑誌への掲載高額な掲載料が発生する
近隣観光施設へのパンフレット設置ターゲティングが曖昧で、反響測定が難しい
電話やFAXでの予約受付手間がかかり、顧客体験を損なう可能性

これらの方法は、情報拡散の範囲が限られていたり、顧客との接点が一方通行になりがちであったりといった問題点があります。また、費用対効果が低いというデメリットも無視できません。

3. 今ドキ旅行者に響く旅館マーケティング戦略

3-1. 顧客体験を重視したマーケティング

(1) ターゲットに合わせた体験型プラン設計

従来型の旅館では、画一的なプランで幅広い層を取り込もうとしていたかもしれません。しかし、多様化する旅行者のニーズに対応するには、ターゲットを明確化し、それぞれのニーズに合致した体験型プランを設計することが重要です。

ターゲット層体験プラン例
若年層(カップル)・陶芸体験と地元食材を使ったBBQプラン
・星空観察と貸切露天風呂がセットになったロマンチックプラン
ファミリー層・お子様向け料理教室と遊園地チケット付きプラン
・家族みんなで楽しめるそば打ち体験プラン
シニア層・温泉街散策と健康ランチがセットになったプラン
・伝統工芸体験と地元の歴史に触れるプラン

このように、ターゲットに合わせた体験を提供することで、顧客満足度を高め、口コミやSNSでの拡散による集客効果も期待できます。

(2) 魅力的な写真・動画コンテンツによる訴求

旅館の魅力を伝えるためには、視覚的な訴求が不可欠です。高画質の写真や動画は、旅行者の心を掴み、宿泊意欲を高める効果があります。

コンテンツの種類具体的な内容例
写真客室や露天風呂からの絶景写真
季節の食材をふんだんに使った料理写真
館内の雰囲気を伝える写真(内装、調度品など)
動画旅館の紹介動画(館内施設、周辺観光地など)
料理人の技が光る、調理風景動画
宿泊客の体験談動画(お客様の声)

これらの写真や動画は、旅館のウェブサイトやSNS、予約サイトなどに掲載することで、多くの旅行者の目に触れる機会を増やします。プロのカメラマンに依頼するなど、高品質なコンテンツを作成することで、旅館のブランドイメージ向上にも繋がるでしょう。

3-2. オンラインプレゼンスの強化

(1) SEO対策&MEO対策

オンラインで宿を探す旅行者が増える中、SEO対策とMEO対策は欠かせません。SEO対策とは、Googleなどの検索エンジンで自社のウェブサイトが上位表示されるように対策することです。一方MEO対策は、Googleマップなど地図サービス上で上位表示を目指すものです。

SEO対策MEO対策
検索エンジンの検索結果地図サービス上の検索結果
キーワード選定が重要地域情報が重要
ウェブサイトの内容を充実Googleビジネスプロフィールの活用

具体的には、旅館のウェブサイトに地域名や「旅館」「宿泊」といったキーワードを盛り込み、検索エンジンのランキングで上位表示を目指します。さらに、Googleビジネスプロフィールに施設情報や写真などを掲載し、MEO対策を行うことで、より多くの旅行者の目に触れる機会を増やせるでしょう。

(2) SNS運用によるエンゲージメント向上

旅館の魅力を発信し、顧客とのエンゲージメントを高める上で、SNS運用は欠かせません。美しい写真や動画と共に、旅館の情報を発信することで、潜在顧客の目に止まりやすくなります。

目的投稿内容例
認知度向上・旅館の外観や客室、料理の写真・動画
・周辺の観光スポット情報
興味関心UP・宿泊客の体験談や口コミ紹介
・スタッフ紹介や旅館の裏側
予約促進・宿泊プランやお得な情報の発信
・イベント情報やキャンペーン告知

 さらに、ハッシュタグを活用したり、フォロワーからの質問に答えたりすることで、双方向のコミュニケーションを創出できます。積極的な情報発信と顧客との繋がりを持つことで、旅館への愛着を育みましょう。

(3) インフルエンサーマーケティング

近年、旅行者の情報収集手段としてSNSの影響力はますます高まっており、旅館の魅力を発信する手段としてインフルエンサーマーケティングは有効です。

インフルエンサーマーケティングとは、SNS上で多くのフォロワーを持つインフルエンサーと連携し、宿泊体験を発信してもらうことで、旅館の認知度向上や予約促進を図るマーケティング手法です。

メリットデメリット
ターゲット層へのリーチ費用対効果が不明確な場合がある
信頼性・共感性の高い情報発信炎上リスクがある
インフルエンサーの企画力・表現力の活用想定と異なる発信をされるリスク

旅館のターゲット層に合致したインフルエンサーを選定し、宿泊体験を通して旅館の魅力が伝わるような企画を依頼することが重要です。

例えば、旅館のターゲットが「20代女性」であれば、旅行系インスタグラマーに宿泊プランを体験してもらい、写真映えするスポットや食事内容を投稿してもらうなどが考えられます。

3-3. リピーター獲得のためのCRM戦略

(1) 顧客との関係構築

旅館に宿泊していただくお客様とは、単なる取引の関係ではなく、その先の繋がりを意識することが大切です。顧客との良好な関係を構築することで、顧客満足度を高め、口コミの促進やリピート率の向上に繋がります。

手段具体的なアクション
挨拶状・礼状の送付宿泊のお礼や季節のご挨拶を添えて、顧客との継続的な接点を持ちましょう。
記念日や誕生日のメッセージお客様の特別な日を覚えておくことで、顧客への特別な想いを伝えることができます。
イベントやキャンペーンへの招待上顧客限定のイベントや、特別なキャンペーンなどを実施することで、顧客に特別な体験を提供しましょう。

これらの取り組みを通して、顧客との良好な関係を築き、顧客ロイヤルティを高めることが、安定的な集客に繋がります。

(2) LINE公式アカウントの活用

LINEは国内月間アクティブユーザー数が9,000万人を超えるコミュニケーションツールとして、顧客との関係構築に非常に有効なツールです。旅館のLINE公式アカウントを開設することで、宿泊者に対して、以下のような積極的な情報発信を行うことができます。

目的配信内容例
認知拡大新プランや季節のおすすめ情報の発信
予約促進クーポンや割引情報の発信
リピート促進顧客限定イベント情報の発信やアンケートの実施

また、LINE公式アカウントは、顧客との双方向なコミュニケーションを可能にするツールでもあります。顧客からの問い合わせにチャット形式で対応したり、FAQを自動応答で配信したりすることができます。顧客との距離を縮め、親近感を持ってもらうことで、リピーター獲得につなげることが期待できます。

(3) 独自性の高いサービス

顧客満足度を高め、口コミやSNSでの拡散、リピートにつなげるためには、旅館独自のサービス展開が重要です。

例えば、以下のようなサービスが考えられます。

サービス例内容
地域連携アクティビティ地元の農家や漁師と連携した収穫体験、伝統工芸体験など
客室でのプライベート空間演出客室に露天風呂やシアタールーム、ワーケーションスペースなどを設置
テーマを設定した客室やプランの提供温泉旅館としての魅力に加え、アニメや漫画、歴史といったテーマを設定
ペット同伴プラン愛犬と泊まれる部屋の提供、ドッグランの併設、ペット用アメニティの充実など

これらのサービスは一例であり、重要なのは「旅館の強み」と「ターゲット層のニーズ」をマッチさせたサービスを開発することです。 独自性の高いサービスによって、他の旅館との差別化を図りましょう。

4. まとめ:これからの旅館に必要なマーケティング思考

これからの旅館経営には、顧客の変化を捉え、時代に合わせたマーケティング戦略が不可欠です。

従来の一方的な情報発信ではなく、顧客との共感や繋がりを築くことが重要になります。

マーケティング思考具体的な内容
顧客視点旅行者のニーズや行動を分析し、顧客目線でのサービス提供を心がける
体験価値の創造宿泊だけでなく、地域資源と連携した魅力的な体験を提供
情報発信の進化写真、動画、SNSなどを駆使し、旅館の魅力を効果的に伝える
関係性の構築CRMツールを活用し、顧客との長期的な関係を築く

これらの要素を意識することで、顧客満足度を高め、持続的な旅館経営を実現できるでしょう。

執筆者

注文住宅会社での20年以上の経験とサウナ好きがこうじて、サウナストーブを独自企画。実際にフィンランドやエストニアへの視察を行い本場のサウナ文化を感じた上で、フィンランド式のサウナストーブを製品化。ストーブの販売から設置、ブース施工までお任せください!

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