サウナルームの質は木材で決まる!木材&施工会社選びのポイント

自宅サウナの検討を始めると、ストーブの性能やデザインに目が向きがちですが、実は空間の質を左右する最大の鍵は「木材」にあります。
サウナ室内は100℃近い高温とロウリュによる湿気が共存する、住宅の中でも最も過酷な環境。不適切な木材選びは、火傷やカビ、さらには早期の腐朽を招く原因にもなりかねません。
今回は、心地よい熱を肌で感じ、心身を癒やす「理想のサウナ」を実現するために、知っておくべき木材の科学的特性や、信頼できる施工会社選びのポイントを詳しく解説します。

目次

サウナルームの木材選びの重要性

サウナにおいて、木材選びは単なるデザインの問題ではありません。サウナ特有の「高温多湿」かつ「急激な温度変化」という過酷な環境に耐え、かつ人間が快適に過ごすための科学的な理由がいくつかあります。木材選びの重要性については以下の4つのポイントが挙げられます。

断熱性と低熱伝導率

サウナ室内は80〜100℃に達しますが、木材は熱を伝えにくい(熱伝導率が低い)という特性を持っています。例えば、ベンチが石や金属でできていたら、熱を吸収しすぎて座った瞬間に火傷してしまいます。しかし、断熱性に優れた木材であれば、高温下でも表面温度が安定するため、肌に直接触れても心地よい熱さを保ちながら安全に過ごすことができます。
特に、スプルースやケロ、ヒノキなどのようなサウナに適した木材は、表面温度が上がりにくいため、肌が直接触れても心地よい熱さを保つことができます。

調湿作用

サウナ、特にロウリュを行うフィンランド式サウナでは、湿度のコントロールが不可欠です。
天然の木材は「吸放湿作用」を持っており、室内の湿度が高いときは水分を吸収し、乾燥すると放出します。この吸放湿作用によって、室内の湿度が一定に保たれ、肌を刺すようなヒリヒリとした乾燥を防ぐことができます。

耐久性と耐腐朽性

サウナは「熱」と「湿気」が交互にやってくる場所です。安価な木材や湿気に弱い木材を使うと、すぐに反り(曲がり)が出たり、カビや腐敗が発生したりします。
サウナルームの素材には、スギやヒノキ、アバチ、ヘムロックといった湿気に強く、油分を含んだ木材を選ぶことで、長期間安全かつ衛生的に使用できます。

芳香成分によるリラックス効果

木材が熱せられることで放出される香りは、サウナ体験の質を大きく左右します。
樹木に含まれるフィトンチッドという芳香成分には、自律神経を整える効果があると言われています。特に「サウナの宝石」と呼ばれるケロ(枯れた松)や、香りの強いヒノキなどは、嗅覚を通じて深いリラックス状態を促進します。
最近のサウナブームを受けて、既存の材木を仕入れるだけでなく、独自に加工・開発した「オリジナルブランド木材」を強みにしているリフォーム会社や建築会社、サウナメーカーが増えています。単なる木材の販売ではなく、日本の気候やサウナの熱源に合わせて「独自の知恵」を詰め込んでいるのが特徴です。
企業が「オリジナルブランド木材」を持つ場合、主に以下の3つの切り口で差別化を図っています。

独自の「燻煙・熱処理(サーモウッド)」加工

木材を200℃以上の高温で熱処理することで、木材の細胞を変化させ、「水分を吸いにくく、腐りにくい」状態に自社工場等で加工します。薬剤を使わずに耐久性を高められるため、肌が触れるサウナでも安全に使用できるというメリットがあります。
加熱温度や時間の管理に各社のノウハウがあり、独自の深い色合いや香りを売りにしています。

耐久性と美しさの保持に優れた山一製材「サーモひのき」

山一製材株式会社が手掛ける「サーモひのき」はフィンランド発祥のサーモウッド技術を日本のヒノキに応用しています。
もともと熱を伝えにくい木材ですが、「サーモひのき」の場合、サーモ加工(高熱乾燥)によって木の中の水分や樹脂が抜けて空隙が増えるため、さらに熱を感じにくくなり、肌への当たりが柔らかくなります。
また、熱処理によって、ひのき本来の白っぽい色から、まるで高級なサウナ室のような「キャラメルブラウン」に変化しており、デザイン性も高められています。
さらに、国産材を活用しており、日本の森林保全にも寄与しています。

山一製材株式会社ホームページはこちら:https://thermohinoki.sunnywood.jp/

地元の間伐材や特定樹種の「ブランド化」

地域の建築会社が、地元の銘木(吉野杉、ひのき等)をサウナ専用に厳選・乾燥させたものを独自商材としているケースです。一般的な建材よりも油分が多く、サウナの過酷な環境でも割れにくい「芯材」のみを抽出しています。

ハイブリッド・プロファイル(独自の形状加工)

木材の「質」だけでなく、「形(サネ加工)」を独自設計している会社もあります。メリットとしては、熱による膨張・収縮を計算し尽くした独自の凹凸形状にすることで、何年経っても壁面に隙間ができない設計となっている点が挙げられます。

サウナ設置時に考慮しておきたいルームの木材の経年変化

サウナルームにおける木材の経年変化(エイジング)は、一般住宅の建材とは比較にならないほどダイナミックに進みます。これは、サウナが「超乾燥(熱)」と「高湿度(ロウリュ)」を短時間で繰り返すという、過酷な環境の一つだからです。この変化を「劣化」と捉えるか、「味わい」と捉えるかで、サウナへの愛着が大きく変わります。

深みと風格の醸成

木材は光(紫外線)だけでなく、サウナの「熱」によっても色が濃くなっていきます。
サウナ設置初期、ヒノキやスプルースは明るい白からクリーム色で、清潔感はありますが、「新しい箱」のような印象です。しかし、数年経つと徐々に黄色味から飴色(ゴールデンブラウン)へと変化します。
使い込むことで色合いが変化し、雰囲気が変わっていくのも「味わい」の一つです。

熟成される芳香

木材に含まれるフィトンチッドなどの芳香成分は、熱せられることで放出されます。サウナを設置して最初のうちは木の香りが非常に強く、フレッシュな森林浴のような感覚です。これが数年経つことで、表面の成分が落ち着くため、香りは穏やかになります。しかし、ロウリュの湿気が木材に吸収され、再び熱せられる際に「サウナ室独自の熟成された香り」へと変化します。
定期的に表面を軽くサンドペーパーで削ることで、新しい木の香りを復活させることも可能です。

角が取れて「馴染む」

新品の木材はエッジが立っていますが、人の肌が触れ、湿気を吸ったり吐いたりすることで、質感も変わります。表面の微細な繊維が落ち着き、肌に吸い付くようなしっとりとした肌触りに馴染んできます。
また、屋外設置のバレルサウナなどの場合は、日光や雨風にさらされる外装部分は次第に美しい「シルバーグレー」へと変化します。これは北欧では「自然に溶け込む色」として非常に好まれるエイジングです。

【エイジングを「美しく」進めるための注意点】

放置して汚れるのと、美しくエイジングするのは別物です。以下の点に注意が必要です。

  • 「汗」によるシミを防ぐ
    汗が直接染み込むと、そこだけ黒ずんだり、時間が経つと異臭の原因になります。必ずサウナマットやタオルを使用し、木材を保護することが「綺麗なエイジング」の絶対条件です。
  • 「水」を残さない
    サウナ終了後に濡れたままにすると、美しい変色ではなく「黒カビ」が発生します。余熱でしっかり乾燥させるか、換気を徹底することで、木材の健康を保てます。

自分に合ったサウナルーム選び 施工会社を選ぶポイント

自宅にサウナを作る際、どの会社に依頼するかは「単なる施工」だけでなく「木材の扱い」と「特殊な環境への理解」で見極めるのが失敗しないコツです。
施工会社を選ぶ際のポイントは以下の4点です。

サウナ専用の「木材加工」を説明できるか

サウナ室内は過酷なため、一般住宅用の乾燥木材をそのまま使うと、数ヶ月で反りや割れ、ヤニ漏れが発生します。

【施工会社選定ポイント】

  • 「サーモウッド(高熱処理)」や「長時間燻煙乾燥」など、サウナ環境を想定した加工材を提案してくれるか

「断熱」と「通気」の設計ノウハウがあるか

サウナはただの「暑い部屋」ではありません。以下の項目についてもチェックしておきましょう。

【施工会社選定ポイント】

  • 断熱:熱を逃がさないための断熱材の選定や、木材の厚みの選定が適切か。
  • 換気:酸欠を防ぎつつ、熱効率を下げない「吸排気」の計算ができているか。
  • 壁の内部で結露が起きないような、サウナ特有の防湿層の施工実績があるか。

木材の「熱伝導率」を考慮した適材適所

座面(ベンチ)と壁面では肌への触れ方が違います。木材の適材適所を考えず、すべて同じ木材で済ませようとする会社は、専門性が低い可能性があります。

【施工会社選定ポイント】

  • 「座面にはより熱を伝えにくいアバチ材やサーモウッドを、壁面には香りの良いヒノキを」といった、部位に合わせた木材の使い分け(適材適所)を提案してくれるか。

アフターフォローと「経年変化」の説明

木材は生き物です。数年後の姿を想像させる説明があるか確認してください。

【施工会社選定ポイント】

  • 将来的に木材が痩せてきた時の調整は可能か?
  • カビや汚れを防ぐための日常的なメンテナンス方法は?

まとめ:木材&施工会社で決まる長く愛せるサウナ

サウナ作りは、一度完成すれば10年、20年と続く長い付き合いの始まりです。だからこそ、表面的なデザインだけでなく、過酷な環境に耐えうる「本物の木材」を選ぶことが、結果として最も満足度の高い選択となります。
年月とともに深まる色合いや香りを「家族の歴史」として楽しみながら、あなただけの至福の「ととのい」空間を育んでください。その一歩は、確かな知識と情熱を持つパートナー選びから始まります。

執筆者

注文住宅会社での20年以上の経験とサウナ好きがこうじて、サウナストーブを独自企画。実際にフィンランドやエストニアへの視察を行い本場のサウナ文化を感じた上で、フィンランド式のサウナストーブを製品化。ストーブの販売から設置、ブース施工までお任せください!

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